取組内容について

大和証券グループの企業理念に「人材の重視」という項目がある。「持続的な成長のために、必要なのは人材である」との信念のもと、2005年から女性活躍支援への取組を強化。2008年には大和証券グループ本社に当時の社長自らが委員長を兼務する「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」(現 ワーク・ライフ・バランス諮問委員会)、あわせて同社人事部内に「ワーク・ライフ・バランス推進室」(現 ワーク・ライフ・バランス推進課)を設置。社員が高いモチベーションを持って仕事にチャレンジできる環境づくり、「働きがい」を感じることができる職場環境の整備を、経営戦略として推進している。

19時前退社の励行

2007年より「19時前退社の励行」をスタート。支店を施錠する時間を人事から経営に報告し、19 時前退社を徹底している。従来からの働き方を大きく見直しながら、限られた時間の中で最大限成果を出せるよう業務に取組んでいる。 当初は反対も多かったが、社長の本気度が社員の意識を変え、今ではすっかり定着。業務の見直しや会議の時間短縮等が大幅に進んだほか、社員の考え方も「限られた時間でいかに成果を上げるか」という方向に変化し、結果的に生産性向上に繋がった。また、当施策は社員の間でも好評で、19時以降の時間を自己啓発や趣味、家族との団欒、仲間との交流など、各々が豊かな時間を見出し、モチベーションもアップしている。

年次有給休暇取得促進

心身共にリフレッシュし新たな活力を引き出すことで、生産性や業務効率を高めることを目的とし、「計画的な年休取得」を促進。2015年度63%の年休取得率を2020年度までに70%とすることを目標として、制度利用カレンダーの導入やファミリー・デイ休暇、結婚準備休暇の設置等、様々な取組を行い、支店長自ら取得を促進している。また、休暇取得者の業務をカバーできるよう、「お互い様」の精神でサポートできる環境を整えている。

ワーク・ライフ・バランス推進サイト「ダイワ WLB ステーション 」を設置

社員専用のワーク・ライフ・バランス推進サイトで、育児や介護の制度紹介のほか自己研鑽や健康をテーマとしたコンテンツも掲載。休職中に自宅からも閲覧でき、掲示板は社員のコミュニケーションツールとしても活用されている。また掲示板機能を活用した「キャリアに関する相談窓口」を設置しており、女性役員や女性管理職が後輩女性社員からの悩みや相談に対応している。

仕事と育児・介護が両立できる職場環境づくり

ロールモデルの積極的提示・キャリアデザインブックの配布

一人ひとりのキャリアデザインをサポートすることを目的として、多彩なキャリアパスや職制、様々な人事制度や教育研修、福利厚生等を冊子にまとめて、全社員に配布している。

男性の育児休業取得促進

女性のみならず、男性の育児休業取得も促進。2014年には、配偶者の出産時・復職時等に2週間以内は「有給」で休暇を取得できる「育児サポート休暇」制度を導入。

短時間勤務制度

子どもが小学校3年生修了まで最大90分早く退社できる。

所定時間外労働免除・制限の対象範囲拡大

子どもが小学校3年生修了までの期間、所定時間外労働の免除が可能。小学校卒業までの期間、所定時間外労働の制限が可能。また、小学校卒業までの期間であれば、所定時間外労働の制限を申請することができる。

保育施設費用補助

子どもが小学校入学までの期間、保育施設にかかる実費を月2万円まで補助。

出産お祝い金

社員やその配偶者が出産した際、出産一時金が支給される。第3子以降の出生に対しては、お祝い金200万円を支給。

看護休暇

小学校就学前の子1人につき年5日、子2人以上の場合は年10日まで取得可能(半日取得も可)

育児支援ガイドブックの配布

同社の育児支援制度等をわかりやすくまとめた冊子を配布し、制度利用を促進。

ダイワ育児・介護サポートデスク

育児・介護中の社員が、いつでも気軽に相談できる情報提供窓口。各種制度案内や相談、情報提供を行っている。

育児支援制度のフォローアップ

従業員個々の育児関連スケジュールを把握し、人事部から制度利用をタイムリーに案内してくれる。

復職サポート

2009年より、育児休業からの復職サポートを体系的に実施 。「ダイワ WLB ステーション」を利用して情報を得たり、休業前・復職前面談、復職後の人事面談を行い円滑な職場復帰をサポート。さらに、部室店長向けに「復職サポートガイドライン」 を策定し、制度を利用しやすい環境整備を強化している。

介護教室

将来の介護への不安を少しでも解消できるよう「仕事と介護の両立支援に関する講座」を開設。ネット上で閲覧可能

介護休暇

1日2時間、介護休暇期間と通算して365日以内まで取得可能(介護休職期間と通算)

介護休職

介護が必要な家族1人につき365日以内、4回まで分割取得可能

ライフサポート有給休暇

傷病、介護準備、不妊治療のために休暇が必要な場合に取得可能(最大50日)

ホームヘルパー補助金制度

配偶者が病気などの理由で家事ができず、家族の世話のためにホームヘルパーを依頼した場合の費用を補助

営業員再雇用制度

結婚・出産・介護等の理由でやむを得ず退職した社員のうち、営業経験2年以上・退職後5
年以内の社員を退職時と同じ処遇で再雇用。静岡支店でも実績あり。

エリア総合職制度

転居を伴わないで通える範囲に勤務したい社員のために、エリア総合職(業務内容は総合職と同様 )という職制を用意。

勤務地変更制度

結婚・配偶者の転勤等でやむを得ず転居が必要な社員に転居先でも勤務場所を提供。 (転居を伴う異動がない職制が対象)

家族の職場訪問

2008年から、日ごろから社員を支えてくれている家族に感謝を込めて職場に招待する「家族(配偶者・子・両親・祖父母・兄弟姉妹など)の職場訪問」を実施。静岡支店では、子ども達との名刺交換や、社長メッセージ VTR 放映、テレビ会議システムなどを紹介。また、事前に仕事中の風景をビデオ撮影し、家族とともに視聴。大好評のイベントとなっている。

資格取得サポート

全社員が受けられる eラーニングなど、TOEIC のスコアアップに向けた受験対策制度を整備。中級者には、より実務で使える英語力を上げるためのeラーニングや英会話学校を紹介。また、フィナンシャルプランナーや証券アナリスト等の資格取得サポートのための研修や費用補助を行なっている。

職場環境の改善

社員のモチベーションアップのため、大和証券の全支店をより働きやすい環境へリニューアル 。

取組によって得られた声

クライアントサポート課

田平千秋さん

入社9年目
夫・娘1歳との3人暮らし

仕事・家庭・育児のバランスをとりながら、キャリアアップも。

2007年4月、エリア総合職として静岡支店に入社しました。2007年というと、すでに当社では、女性活躍支援やワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる最中。会社説明会でトークをしてくれた女性社員のイキイキとした姿がとても印象的で「私もこんな風に活躍したい!」と憧れましたね。それが志望理由です(笑)。今年で9年目になりますが、職場結婚をして昨年長女を出産、一年間の育休を経て職場に復帰したところです。復帰のリハビリも兼ね、今はクライアントサポート課という部署で、店頭案内やテレコールなどの業務を担当しています。当社の素晴らしいところは、仕事と育児の両立をサポートしてくれる様々な制度があり、それを活用できる環境が整っていること。現在は、勤務時間を短縮できる「短時間制度」を活用しています。また将来的に、総合職である主人が転勤となった場合も、「勤務地変更制度」を活用すれば、私自身も勤務地を変更し継続して働くことができるのも魅力ですね。今後は仕事・家庭・育児のバランスをとりながら、自分自身の成長、キャリアアップも目指していきたいと思っています。

取組企業からの声

静岡支店長

田中義一さん

今後さらに、女性マネジメント層の拡大を図っていきたい。

制度はあっても、利用されなければ意味がありません。大和証券グループのワーク・ライフ・バランスと女性活躍支援に関する制度は、飾りではなく、全て活用されているものです。さらに、いつも同じではなく、より活用されやすくバージョンアップしています。また、制度の内容は、社員専用サイトで検索できたり、制度一覧が印刷された下敷きを配ったり、社員全員に浸透させるための工夫もされています。ワーク・ライフ・バランスの活動をスタートさせてから、働きやすい職場環境が構築されました。静岡支店の新卒採用においても、女子学生からの応募が増加しています。女性のキャリアアップを応援し、今後さらに女性マネジメント層の拡大を図っていくつもりです。

取材メモ(編集後記)

静岡支店はもちろん、全国の大和証券のオフィスは、19時までには全社員が退社、消灯となる。証券会社=残業は当たり前…と思っていただけに、これには驚いた。「19時前退社の励行」の導入時は、戸惑いや反発も多かったそうだが、当時の社長自らが全支店長に通達し、各支店の施錠時間を全てチェック。トップの「熱意と本気度」が社員の意識を変えた。仕事も生活もハードに思い切り楽しむ…、どこよりもアクティブなワーク・ライフ・バランスを実践しているのが大和証券グループなのかもしれない。

(文責:有馬奈美)

大和証券株式会社静岡支店

所在地
静岡市葵区追手町1-1
電話番号
054-254-3151
業種
証券業
従業員数
62名 

男性37名、女性27名・平均年齢35歳

※人数は取材時のものです

設立年月日
1999年4月26日
MAP

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