取組内容について

複合機やプリンターなどの画像機器や、ICT関連商品の販売、その関連ソリューションの提供を行っている「リコージャパン」。リコー製品をはじめとした、豊富な商品・サービスを組み合わせた提案・提供をしている企業です。

育児・介護等と仕事との両立支援制度は法定基準より拡充

育児休業は、子が2才になる月の月末まで取得可能で、「リコージャパン」全社における令和2年の取得率は女性100%、男性58.5%でした。また、時短勤務も子が小学3年の学年末まで適用でき、5・6・7時間勤務から選ぶことができます。定時は9:00〜17:30ですが、たとえば保育園の送迎の関係で10:00〜16:00の勤務とすることも可能です。
また、看護休暇として年間10日間の取得が可能。家族が入院し看護が必要な場合には、有給と組み合わせて使用することができます。
1時間から取得可能な有給制度もあり、緊急の時は当日申請で利用可能。たとえば、子どもを急いで迎えに行かなければならないといった突発的な対応も、時間年休を利用することで、早退とならずに対応が可能です。昼休みと1時間の時間休を組み合わせ、12:00〜14:00の中抜けもできるようになっています。

育児・介護等と仕事との両立支援制度は法定基準より拡充

イクメンチャレンジプランで男性の育休取得を推進

男性の育休取得を推進する「イクメンチャレンジプラン」を策定。まず、育休対象者である男性従業員に、全社でオンライン開催しているセミナーに参加してもらいます。このセミナーは、女性の育休対象者も参加する育休後の復職支援プログラム。育休や時短勤務などについての制度の説明から、育児をしながら仕事をする女性の実際の1日の流れ等を紹介する内容となっています。仕事と育児・家庭の両立は、女性だけの問題ではありません。そのことを男性にも理解してもらおうと、女性の育休対象者と一緒にセミナーを受けてもらっています。
上司も男性従業員の育休取得を後押し。静岡支社でも7人中4人の男性が育休を取得しています。現在は1〜5日程度と短期間の取得が多いですが、支社によっては1〜3カ月取得する男性従業員も。育休を取得した男性の気づきや体験談を、ロールモデルとしてホームページやYouTubeを通じて社内に配信しています。
現在では、子どもの急病や入学式・卒業式等の行事の際は、男性従業員も有給を取ることが多くなりました。子どもの病気等で数日休まざるを得ないような際にも、配偶者と交互に有給を利用したり、テレワークを利用したりするなど、女性だけでなく男性も育児がしやすい社内風土を整えています。

働き方改革に伴い、テレワーク勤務を可能に

毎週月曜と水曜はノー残業デー。残業は申請制で、申請なく残業することがないよう、定時である17:30の5分前にパソコン画面にサインが流れ、18:00には無線LANが遮断されます。
また、平成30年、政府により進められた働き方改革の以前より、全社でテレワークを導入。全従業員が在宅でのテレワークが可能となるよう業務が見直され、モバイルPCが貸与されました。営業職は直行直帰ができるようITツールが用意され、事業所へかかってきた電話は携帯電話に転送できるよう設定しました。パソコンは業務に合わせてサイズが選択できます。
以前は、自宅で育児が必要な子どもがいる場合は在宅勤務を認めていませんでしたが、新型コロナウイルス感染拡大を機に、暫定措置として育児が必要な子どもがいても在宅勤務を可能にしました。(令和4年3月までの暫定措置のため今後は未定)また、人材派遣の社員も、雇用元との覚書締結により在宅勤務を可能としました。
これにより、令和2年の緊急事態宣言下では静岡支社の出社率は50%、令和3年の緊急事態宣言下では30%を実現しました。

新型コロナを機に断続勤務を暫定導入

新型コロナを機に断続勤務を暫定導入

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、育児・介護に関わる従業員は、断続勤務を可能としました。(令和4年3月までの暫定措置のため今後は未定)7:00〜20:00の間で都合にあわせて7.5時間を選択して勤務するという制度で、育児・介護により中抜けができるようになっています。
また、シフト勤務、短時間勤務や育児・介護フレックス勤務は在宅勤務と併用が可能。たとえば、顧客への夜間の修理訪問をしたり、夜間にオンライン説明会を開催したりする際、12:00〜20:00のシフト勤務にし、その間に在宅勤務を入れることもできます。

女性の営業職の交流の場を設け、キャリア意識向上に繋げる

全社の若手営業職の女性を対象に、「エイジョフォーラム」を開催。未婚女性、既婚女性、育児中の女性など、さまざまな立場のエイジョ(営業職女性)が全国から集まり、自身や会社のビジョンを女性目線で描くワークショップを開催。キャリア意識が向上し、女性管理職の増加へと繋げています。「リコージャパン」は、子育て中でも営業職で活躍する女性も多い会社。境遇が近い女性が集まることで普段話せない悩みを相談できる場にもなっているそうです。

子どもと一緒に出社する「ファミリーデー」を開催

平成28年頃より、社員を支えてくれる家族を職場に招待し、職場への理解を深めてもらう“ファミリーデー”を開催。子ども達が夏休みの平日の午前中に親子で一緒に出社してもらい、社員との名刺交換会や自社製品を活用した遊びや体験などを楽しんでもらいます。最後は“お給料”としてお菓子をプレゼント。令和2年は新型コロナウイルス感染症拡大により中止しましたが、令和3年はオンラインで実施。子ども達は親の職場を知ることで仕事を理解するなどキャリア教育のきっかけになっています。また、従業員が他の従業員の子どもを知ることで、従業員同士の思いやりと育児への相互理解が深まりワークライフ・マネジメントについて考える機会の場となっています。

子どもと一緒に出社する「ファミリーデー」を開催

相互理解を深め、多様な人材が誰もが働きやすい環境づくりに取り組む

令和元年には「リコージャパン株式会社 静岡支社」は、静岡市のSDGs宣言事業所として2番目に登録されており、早くからSDGsのゴール達成に向けた活動を推進しています。その一環として、静岡支社でLGBTセミナーを開催したり、障がい者を積極的に雇用し、相互理解を深めるセミナーを開催したりしています。LGBTや障がい者に対して、知らないことから起こる自覚のない差別やマナーを学び、よりよい組織と地域社会の形成を目指し、社内への啓蒙活動を行っています。

役員を含む全組織職が「イクボス宣言」

部下と自分、社会を育て、風通しのよい職場づくりやメンバーの成長支援を重視するイクボスを推進。職場でともに働くメンバー・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援。全組織職は、組織としての成果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司となることを宣言しています。

取組によって得られた声

営業部

望月鮎美さん

2009年入社

営業職として勤務しています。妊娠中はつわりがひどく、仕事を休むこともありました。8年前にはなりますが、当時の上司がとても理解のある方で、とてもいたわってくれました。車での移動が心配だからと、営業職から営業サポートへの配置転換も提案してくれました。その後、2人目の出産までは営業サポートとして勤務しましたが、周りからサポートしてもらえそうと感じたので、ブランクがあったものの営業職に復帰。現在は9:00〜16:00という時短勤務でありながらも営業の仕事ができるので、とてもやりがいがありますね。
また、子どもが入院し、付き添いが必要になった際、有給をすべて消化してしまったのですが、看護休暇があったのでとても助かりました。

ソリューション推進部

岩佐美波さん

2010年入社

育児のために時短勤務をしていますが、帰宅時間が遅くなると、周囲が「早く帰った方がいいよ」と心配してくれる会社です。上司や周りのメンバーの理解があり、嫌な顔せずに帰宅を促してくれるのは嬉しいですね。
妊娠してから復帰するまでの両立支援の情報が1冊の冊子にまとまっています。産休育休中やその前後の各手続き方法、男性の育休の利用方法、管理職向けの内容などの記載があり、とても分かりやすくなっています。私も産休に入る際、この冊子を印刷し、上司と一緒に確認していきました。

営業部

大橋敏弘さん

1982年入社

昨年定年を迎え、再雇用してもらいました。当社では60才で定年を迎えた後、ほぼ100%近くを再雇用。1年単位で契約を更新し、65才まで勤務が可能となっています。静岡支社では40人が再雇用され、多くのシニア社員が活躍。やりがいがある営業職を続ける人も多いですが、内勤への配置転換や週3〜4日のみの勤務等もできるなど、柔軟な働き方ができるのが魅力です。

取組企業からの声

事業管理グループ

新海毅さん/中林由紀子さん

今後は支社独自の取組を行っていきたい

出勤・退勤時間を選べる時短勤務、在宅勤務、シフト勤務、断続勤務など、さまざまな制度を用意しています。制度に合わせて勤務時間を選ぶというより、「こういう勤務の仕方ができないだろうか」という個々の希望に合わせ、何かしらの制度の用意があるので、様々な立場・境遇を持つ従業員にとっても働きやすい環境を整えています。
「リコージャパン」全社でも様々な取組を行っていますが、今後は静岡支社独自の取組も積極的に行い、より働きやすい環境にしていきたいですね。

取材メモ(編集後記)

様々な制度の用意があるので、従業員も全ては把握しきれていないそうですが、困ったときに情報を探せる専用のポータルサイトの用意があるそう。見つけられない時は、チャットボット(AI)に気軽に質問することもできるそうです。
1時間から取得可能な有給制度を整えている企業も増えてきていますが、昼休みと組み合わせての利用の仕方や退勤時間を早めるための利用など、使い方も多種多様。仕事と育児・介護、プライベート、すべてを充実させる働き方ができそうだと感じました。

(文責:河田良子)

リコージャパン株式会社 静岡支社

所在地
静岡市駿河区さつき町5番37号
電話番号
054-203-6800
業種
商社
従業員数
288名 

男性244名、女性44名

※人数は取材時のものです

設立年月日
昭和34年5月2日
ウェブサイト
https://www.ricoh.co.jp/
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