取組内容について

静岡県全域で36店舗を展開し、カーディーラーとして、新車・中古車の販売やメンテナンスを行う静岡トヨペット。「社員の成長なくして、会社の成長はないから」と、2014年に組織改定し、「人づくり部」や「営業ひとづくり部」などを創設。採用・教育の抜本的な改革を行うとともに、働きやすい環境の整備を行いました。「人財育成」には、時間と労力がかかり、成果もすぐには見えにくいものですが、静岡トヨペットでは強い覚悟を持って取り組んでいるとのこと。
また、働きやすい職場づくりとして、管理職の5連休取得の義務付けと一般社員の3連休推奨、ノー残業デーの設定、出退勤ルールの見直し、無駄な残業削減のために残業の事前申請化など、様々な取組を行っています。

ママ社員の職場復帰をサポートする場の創出など女性も働きやすい環境を整備

静岡トヨペットでは、産休・育休後、仕事復帰する社員が100%とのこと。(産休・育休取得社員2018年9人、2019年7人)職場復帰しやすい様々な取組を行うことで、離職率が低くなっているようです。
特に力を入れているのが、3〜4年ほど前から、年2回(6月と11月頃)、育児休業中のママ社員と、復帰して1年以内程度のママ社員を対象に、職場復帰をサポートするための情報交換や学びの場「ママCafé」を開催しています。育休中の社員は子ども連れで参加します。全店舗が対象になるため、普段は勤務地が異なり、話す機会がない同じ年頃の子どもを持つママ社員と知り合える場にもなっています。
セミナーの内容は、毎回、参加者の状況に合わせて変えており、過去には「子育てとイライラとの付き合い方」「復帰後のタイムマネジメント」といった内容で開催しています。セミナーは、育児経験がある産業カウンセラーによるもので、参加者はセミナーに集中できるように先輩ママ社員が子どもたちの面倒を見てくれるそう。また、ケイタリングを利用し、社長や役員とのランチタイムも用意されています。
このほかにも、2018年の夏休み中である8月の3日間に、本社スタッフ対象に「子連れ出勤チャレンジ」を実施。3才〜小学校3年生くらいまでの子どもたち10人ほどが、親と一緒に出勤してきました。親が仕事の間、子どもたちは「キッズエンジニア体験」「体操教室」「自然体験教室」「宝探し」など、静岡トヨペットが用意したプログラムを楽しみました。

ママ社員の職場復帰をサポートする場の創出など女性も働きやすい環境を整備
社員の成長なくして、会社の成長はないから。人財育成に力を入れる

社員の成長なくして、会社の成長はないから。人財育成に力を入れる

実は、2014年の「人づくり部」や「営業ひとづくり部」が創設される前までは、離職率が3割を超えていたと言います。全ての社員が採用に関わり、人財育成に携わることを決め、2015年の採用活動から方向転換。それ以降、離職率が大きく減ったそうです。
入社後、1か月間の総合研修では、必要な考え方・知識・スキルを習得するのはもちろん、同期の絆づくりにも力を入れています。河口湖での野外合宿研修、チームTシャツなど、絆を深める取組が充実しています。
また、2019年は、店舗接客事務スタッフとサービスエンジニアは3か月間、営業職は5か月間と、じっくり時間をかけて新入社員研修を実施。また、店舗配属後には、新人一人ひとりに頼れる先輩「ブラザー・シスター」がつき、1年間責任を持って指導・育成を行いながら、教える側も共に成長する「共育制度」を行っています。そして、入社から1年後に、1年間の成長を自慢し合うプレゼン大会「新入社員卒業式」を行うことで次のステージへと進んでいきます。

モチベーションに繋がる「全社員大会」「スキルアップコンクール」など各種大会を実施

800名以上の社員が一堂に会する「全社員大会」では、年間優秀者表彰や、資格取得表彰などが行われる他、社員やお客様からの「ありがとうのエピソード」のランキング付けを実施する「感動の総選挙」を実施。1〜3位を表彰しています。表彰の機会を用意し、また様々な大会を開催することで、一人ひとりが切磋琢磨し、成長できる環境を整えています。
また、営業職・整備職・接客事務職の3人1組で、接客応対の型を競う「全社員総がかり『スキルアップコンクール』」、整備職であるサービスエンジニアの頂点を決める大会「テクニカルフェスタ」や、接客事務職のフロアコンシェルジュが、1年間、店舗で取り組んだ内容をプレゼンする「プレゼン大会」も実施しています。

モチベーションに繋がる「全社員大会」「スキルアップコンクール」など各種大会を実施

障がい者の雇用、定年後の再雇用スタッフが働く場の新設、外国人の採用

現在、10名の障がい者が在籍し、また、定年後、再雇用されたスタッフが47名(最高齢は68歳)在籍しています。
そこで、障がい者や定年後の再雇用スタッフの働く場として、点検入庫車両の清掃や洗車を行う「サポートスタッフ」を新設しました。これまでは、整備職の社員が行っていた業務でしたが、サポートスタッフを導入することで、より生産性を高めることができたと言います。
外国人も採用し、整備職に3名(中国2名、ペルー1名)、本社事務(コロンビア1名)が在籍しています。2020年にはさらに整備職に1名(ブラジル)が入社予定とのこと。多様な人材の活躍の場を創出しています。

障がい者の雇用、定年後の再雇用スタッフが働く場の新設、外国人の採用

今後の計画について

静岡トヨペットは、「WONDER LAND」をコンセプトに、お子さんが思いっきり遊べる遊具を用意し、大人もくつろげるような植物で囲まれた空間「WONDER LAND店舗」を展開中。それに伴い、本社オフィスも子連れ出勤できるような「WONDER LANDオフィス」にできたらと考えているとのこと。店舗での子連れ出勤は、お客様への理解が進むようであれば検討したいとのことでした。

取組企業からの声

代表取締役社長

平光敬和さん

一人ひとりがそれぞれの意思でチャレンジできる会社を作っていきたい

以前(昔)の日本では、サラリーマンが同じ方向に向かいながら仕事をしていく時代でした。それが終わり、今は5年後、10年後と、先の予測ができない時代が来ています。社員(人)が単色(一つの色)しか持っていないと、ものすごいスピードで変化している社会の中で、想像もしていなかった環境に変わっていく社会では追い付いていけなくなります。つまり、企業は社会的な価値を発揮できなくなっていくのです。
そういう中で、様々な価値観を持った社員一人ひとりにより、会社が構成され、かつそれぞれがそれぞれの意思で、成長とチャレンジを続けていける。そういう会社づくりをしていくことが、どんな環境になっても社会の中で生き残っていける会社になる方法ではないだろうかと思います。
一人ひとりの多様な価値観、多様な生き方・働き方を会社は大切にし、その価値観で大活躍をしてもらうために、会社の在り方を設計し、作っていきたいと考えています。

取材メモ(編集後記)

2014年に「人づくり部」が創設されて以降の取組は、こちらでは紹介しきれないほど多種多様です。人財育成に力を入れることで、それに伴い、働き方の制度も見直され、社員がいきいきと働ける環境が整えられています。それがお客様や地域に向け、還元されていることが感じ取れました。
近年、カーディーラーで営業職や整備職の女性の人員が少しずつ増えてきている傾向にあります。子連れ出勤ができるなどの「WONDER LANDオフィス」は、今後の新しい働き方の取組として参考になり得そうな事例です。

(文責:河田良子)

静岡トヨペット株式会社

所在地
静岡市葵区長沼611番地
電話番号
054-261-4113(代)
業種
小売業
従業員数
824名 

男性正社員631名・男性非常勤28名
女性正社員158名・女性非常勤7名

※人数は取材時のものです

設立年月日
1956年5月7日
ウェブサイト
https://shizuokatoyopet.jp
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