株式会社 静鉄ストア
- 所在地
- 静岡市葵区末広町95番地
- 業種
- 小売業
- 従業員数
- 2737名
男854名、女1,883名(正社員/男419名・女107名、スタッフ社員&アルバイト/男435名・女1,776名)
※2017年10月23日時点※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 1999年1月27日
- ウェブサイト
- http://www.s-store.co.jp
取組内容について
静岡県内に34店舗(静岡市内は18店舗)のスーパーマーケット「しずてつストア」を展開する同社。2,737名(2017年10月時点)の従業員を抱える企業なので、法律に基づいた基本的な制度は万全に整えられています。「安全・安心・健康・美味しい・楽しい」をモットーに、「人も商品も器も質の良さで地域No.1であり続けることを目指している」企業。「しずてつストア」で働く人々がどのような職場環境で働いているのかをうかがいました。
2016年スタート!「わたしプロジェクト」で職場環境・制度の見直し
「女性活躍推進法」の施行に伴い、2016年度より女性メンバー(2016年度11名・2017年度6名)による「わたしプロジェクト」を発足。「静岡県内小売業の中で、一番働きやすい・働きたい企業」を目指し、昨年は9回のプロジェクト会議を実施しています。この会議から「従業員やお客さまが怪我をした際に対応できるように、薬箱を設置したい」「お米を運ぶ台車が重いので、どうにかしたい」といった意見が寄せられたといいます。各部署に協力をあおぎ、全店に薬箱を導入、商品(お米)の搬入に関しては、軽いものと重いものを組み合わせるなど女性にも運びやすいよう改善されました。
この「わたしプロジェクト」には、オブザーバーとして常務や部長・課長も参加しているため、会議で出た意見はそのまま役員会議へと持ち込まれ、トップダウンしやすいのが特徴。「上司がいるので意見が出づらいのでは」と思いますが、それは初めだけだったとのこと。次第に意見が活発になり、「自分たちが発案した意見が周りに認めてもらえることで、仕事へのモチベーションにつながっている。プロジェクトを発足した効果は、思いのほか大きい。」と常務取締役の鳥澤朗さんは語ります。
また、昨年度は、育児中・育休中の女性正社員を対象にした「両立支援懇親会」を開催。仕事と育児との両立について、悩みや工夫を共有し、仕事と育児両面へのモチベーションアップにつながりました。懇親会は非常に好評で、2017年11月には第2回を開催しました。
その他にも、2017年度は、仕事と育児の両立を支援する制度の見直しに取り組み、10月から新制度がスタートしました。育児休業の期間を従来の子が1歳6ヶ月から3歳に達するまでに延長しました。また、時短勤務も以前は子どもが3歳になるまで可能でしたが、小学3年生修了時まで適用できるよう、制度内容が拡充しました。
自己啓発の奨励。育休中に資格取得を実現した女性も
2016年度からは正社員・スタッフ社員(合計約2,500名)を対象に、自己啓発を奨励する取組みを実施しています。通信講座は、社内通信講座パンフレット内の約120講座より好きな講座を学習でき、修了時には受講料の100%を授与。また、業務に関連のある資格については合格時には受験料の100%を授与(限度額あり)しています。
昨年、育休を取得していた小澤香里さんは、社内の自己啓発制度を活用し、育休中に、「食生活アドバイザー3級」の資格を取得。休みの間もスキルアップに励みました。
男性社員による3ヶ月の育児休業を取得を皮切りに、意識改革へ
2016年度に、人事・総務部の男性社員が、3ヶ月の育児休業を取得しました。2人目のお子さんの出産に伴い、上のお子さんの面倒を見たいとのこと。これまで、制度としては整っていても、なかなか男性の育休取得は周囲に言い出しにくい雰囲気がありました。この男性社員の育休取得により、2017年度は、男性店長2人が育休取得予定。
「育休制度の内容や男性も利用できることは、まだ全従業員に認知されていない可能性があります。こういった男性社員による育休取得実績を、社内外へ広く周知させていき、取得しやすい環境・雰囲気をつくっていくことが今後の課題だと思っています。」と、人事・総務部採用教育課(女性活躍推進担当)の手塚実加さんは話します。
また、短時間勤務の制度は、現在、育児で5名、介護で1名が利用しています。短時間勤務の制度活用が周知され出していることもあり、正社員の育休明けの復職率は、現在100%。この数値は、女性が働きやすい環境が整っていることを物語っています。
スタッフ社員から正規雇用を経て、女性副店長へ
2017年度には、女性の副店長2名が誕生しました。過去には女性が店長に登用された実績はあるそうですが、この数年はいなかったそうです。一人は、2013年に末広店のオープニングスタッフとして入社した佐藤久美さん。2015年に正社員登用試験に合格し、2017年4月から流通通り店の副店長として活躍しています。もう一人は、2007年に新卒入社した白勢和美さん。本部などの勤務を経て、同じく2017年4月から薮田店の副店長に着任しています。
「静鉄ストア」では、子育て中は、スタッフ社員として勤務し、子育てがひと段落してから正社員登用試験を受けるといったキャリア形成が可能。2016年度からは、試験回数を年1回から2回に増やし、2017年度には正社員登用基準を確立。従業員からも「基準が明確になった。」と好評とのことです。実際に、今年度上半期には18名が試験にチャレンジしており、以前までと比べて人数が増えています。「店長報告会を通じて、店舗従業員へ周知させていますが、正社員になることに消極的な人が多いのも実情です。女性ならではの活躍方法がたくさんあることを、みなさんに伝えていけたらと思っています。」と人事・総務部採用教育課 課長の瀧秀太郎さんは話します。
正社員登用試験を受け、スタッフ社員から正社員となった女性は、過去3年間で10名いるそうです。
労働時間の削減と有休取得促進
2016年度から、これまで9:00〜23:00だった店舗営業時間を、9:30〜22:00へ段階的に変更。「従業員の時間外労働時間を少しでも削減できるよう、まずは店舗の営業時間を減らそうと考えた。」と、常務取締役の鳥澤さんが話します。また、本部では毎週水曜日と日曜日はノー残業デー。水曜日には、18時からパソコンの画面上に退社を促すメッセージが表示され、18:30にはパソコンの電源が自動で切れる仕組みに。この仕組みによりほとんどの社員が帰宅します。
また、年間を通して5連休、もしくは3連休2回のリフレッシュ休暇を取得することを推進しています。年度はじめに休暇取得計画を提出し、実施できない場合は必ず見直し、再度計画をしてもらうよう促しているといいます。
「連休を取得しても、時間の使い方に思案してしまう人も…。課長職以上の方には、休暇中に何をしたか、どこへ出かけたかなどをインタビューし、社内報を通じて伝えています。」と人事・総務部の瀧さんが話してくれました。
なお、2017年度の有給取得率(上期比)は、前年に比べ利用増加率108.5%と、年々増加しているとのことです。
取組によって得られた声
「育児休業中も面談の実施等会社に支えていただき、感謝しています。」
「1人目の育休明けの後フルタイムで復職しましたが、2人目の育休明けからは、今しかできない子どもと過ごす時間を大切にしたいと思い、短時間勤務を利用しています。人事・総務部の瀧課長が育休中に、何度か電話や面談の機会を設けてくださったので、復職後、どういう働き方をしたいか、しっかり伝えることができました。基本は9:00〜16:00の勤務ですが、フレックス勤務もできるので、8:30〜、10:00〜など、仕事や家庭の事情に合わせて調整できるのも嬉しいです。」
取組企業からの声
「一人ひとりに寄り添いながら、働き方改革を進めていきたいですね。」
「ここ数年、介護を理由に退職するスタッフ社員がいらっしゃるように感じます。育児休業制度を活用し仕事を継続される方が増えていますが、介護休業を利用することは、まだまだ表立って話しにくい雰囲気があるのかもしれません。今後は、介護休業の利用しやすい制度の見直しや周知方法も検討し、一人ひとりに寄り添えるような制度を整えていきたいですね。」
取材メモ(編集後記)
「初めは、女性活躍推進法の施行に伴い発足した『わたしプロジェクト』だったが、実際にスタートさせ進めていくうちに、これは本気で取組まなければいけない内容だと感じるように。男性も女性も、同じように活躍できる環境づくりを、うちならではの手作りスタイルで作っていきたい。」と常務取締役の鳥澤さんが話してくださいました。新しいことを始めてみると、別の視点で新たな発見が出てくるようです。
同社では、昨年度からスタートしたばかりの取組みですが、1年半でさまざまな効果がでてきているようです。取材させていただいた女性従業員2名が、とてもイキイキとしていたことが印象的でした。数年後、同社がどのように変わっているのかとても楽しみに感じました。
(文責:河田良子)
株式会社 静鉄ストア
- 所在地
- 静岡市葵区末広町95番地
- 業種
- 小売業
- 従業員数
- 2737名
男854名、女1,883名(正社員/男419名・女107名、スタッフ社員&アルバイト/男435名・女1,776名)
※2017年10月23日時点※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 1999年1月27日
- ウェブサイト
- http://www.s-store.co.jp