株式会社アース施設内保育所の設置で求職者増へ　介護業界で不足しがちな30代の働き手を確保

平成25年度
大賞受賞

[業種]: 介護・福祉

#出産 #育児 #働き方

株式会社アース

所在地: 静岡市清水区江尻東1-1-5 カーニープレイス清水

電話番号: 054-368-4211

業種: 介護・福祉

従業員数

434名

男94名、女340名／正社員230名、パート・嘱託社員204名

※人数は取材時のものです

設立年月日: 平成16年5月

ウェブサイト: http://www.earth-group.co.jp

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静岡県中部地区を中心に、静岡県内に介護・福祉事業を展開する「株式会社アース（以下、アース）」。
離職率が高いことで知られるこの業界で、どのようにしたら働き手を確保できるかを考えたところ、施設で働く人の大半が女性であることに着目。子育てしながら働くことができる環境を整備することにしたそうです。

施設内保育所の設置による、30代の働き手の確保

「アース」では、2011年12月に「でらいと焼津」（介護付有料老人ホーム）、2012年11月「でらいと島田」（介護付有料老人ホーム）、2013年2月「ふるーら静岡石田」（サービス付高齢者向け住宅）を開設しました。その際、事業所の中に「子どもに光をあてる」という意味を込めた「こらいと焼津」、「こらいと島田」、「こらいと石田」という施設内保育所を設置しました。
従業員優先で、乳幼児を募集し、2016年9月現在では、島田では16名（2016年4月より認可保育園に。従業員は6名利用）、石田では10名（従業員は3名利用。従業員は、土・日曜・祝日の対応も可能で、小学生以上も可能。従業員4名が利用）が在所しています。（※焼津は、2015年度までにいた在所児が卒所してしまったため、2016年度は休所）
保育所があるということで、介護職はもちろん、なかなか採用が難しい看護師の従業員が確保できるようになりました。求人の際にも、施設内保育所がある旨を明記することで、子育て世代にあたる30代周辺の働き手を確保することに成功しています。

保育所の設置により生まれた好循環

「でらいと」での入居者は、“おじいちゃん・おばあちゃん世代”。介護士に心をなかなか開かない高齢者も、子どもと接することで和やかな雰囲気になりました。子どもが好きな高齢者は、わざわざ保育所の近くまで来て、子どもの声を聞きに来るなど、微笑ましく見守っているようです。月2回程度、レクリエーションや、誕生日会を実施。子どもと入居者と、一緒に花を植えたり、野菜を育て収穫したりするなど、施設では喜びを共有しています。

非常勤から正社員の転換制度の検討

介護付有料老人ホームの場合、介護職はシフト制になり、夜勤や早朝勤務もあります。子育て中では、夜勤をこなすのは難しいという従業員の場合、産後しばらくは非常勤として復帰し、子どもが大きくなったら正社員へ戻るという転換制度を、現在、検討しているそうです。これは、2016年11月に復帰予定の正社員からの要望により、検討し始めた内容。一人ひとりの要望に合わせ、働き方を柔軟に考えており、これは働く女性にとって非常に嬉しいことです。
2016年9月現在、育休取得中の従業員が7名いるなど実績があり、産後の職場復帰について随時検討、復帰後も仕事がしやすい企業体制を整えています。

ふるーら静岡石田　副施設長・生活相談員・介護福祉士

大野沙代子さん

年齢／36歳
入社年数／2013年1月入社

短時間休憩で母乳をあげに行っていました。

小学2年生と、年少の子どもがいます。1人目のときは、子育てをしながらの正社員は無理だと諦め、他社の施設で、パートや非常勤での形で勤務していました。しかし、2人目を出産する際、産休明けに職場へ復帰することができず、退職しました。
別の勤め先を探していたところ、「ふるーら静岡石田」の求人を発見。施設内保育所があれば、正社員でも働けると思い、応募しました。早番のときは、子どもがまだ眠ったまま状態で保育所へ連れていき、朝食もあげてもらっていましたし、遅番のときは、夕食もあげてもらっていました。母乳で育てていたので、短時間休憩をもらい、母乳をあげにいくことも。事業所内保育所だからできたことですね。

経営管理部　部長

村上秀一さん

「求職者が増加し、よりよい人材確保につながっています」

保育所の設置により、求職者数が増加、選考レベルの向上につながっています。「保育所があるから応募した」という女性が想像以上に多く、「保育所があるから、安心して働ける」と、上位職を目指す人も増えてきました。保育所の運営は、決して楽ではありませんが、よい人材を確保するための福利厚生と考えれば、十分、その価値があります。

従業員の確保が難しいと言われる介護業界において、「アース」では、30代周辺の女性が、子育てしながらいきいきと働いていました。子育ての事情を考慮してくれることはもちろん、子どもと一緒に出勤し、帰りは子どもと一緒に帰宅する。時間のロスも少ないですし、忙しいお母さんにとっては非常に効率的です。産前産後の女性の職場復帰の方法についても、多くのよい事例を生み出してくれそうで、期待が持てます。

（文責：河田良子）