平金産業株式会社
- 所在地
- 静岡県静岡市駿河区豊田2丁目9−17
- 電話番号
- 054-286-0288
- 業種
- 製造業
- 従業員数
- 31名
男性26 名、女性6 名
(正社員/男性25 名、女性6 名、パート/男性1 名、管理職/男性4 名)
※2023 年10 月31 日時点※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 1960 年7 月19 日
- ウェブサイト
- http://hirakinsangyou.jp
取組内容について
「平金産業株式会社(以下、平金産業)」は、魚市場・魚屋・スーパーマーケット・水産加工会社からさまざまな魚のアラを回収し、魚粉・魚油といった製品にし、家畜飼料や肥料原料へと変えている会社です。近年では、鮮度の良いマグロの残渣を使い、魚粉・魚油・コラーゲンの加工もスタート。水産飼料・DHAEPA の原料・化粧品の原料になり、2020 年には経済産業省「はばたく中小企業・小規模事業者300 社」需要各拡大部門にも選出されています。子育て・介護等と仕事が両立しやすいようにするために導入した短時間正社員制度等、働き続けやすくしたさまざまな仕組みをご紹介します。
6時間勤務の短時間正社員制度により、子育て・介護が両立しやすくなった
平金産業では経理・総務・デリバリー(出荷作業)の業務を女性3 人でそれぞれ担当していました。2020 年頃から、いずれの女性社員も子育て・介護・病気・新型コロナウイルスなどの関係から、休暇を取らざる得ない状況が発生。時には3 人分の仕事を1 人で担わざるを得ないこともあり、それぞれが主に専任で業務を担当していたため、その日に必要な作業内容がわからないことも。業務に支障が出るようになってきていました。
そこで2022 年に導入したのが短時間正社員制度。3 人から新たに1 人追加採用し、4 人体制に。社員数を増やすことで、急な欠勤が出ても1 人にかかる負担が以前よりは少ないため、業務にも支障が出なくなりました。
1 日の労働時間を8 時間から6 時間に変更し、週の労働時間が通常は40 時間なのに対し、制度利用者は27~40 時間未満にしました。また、平金産業は週休2 日制で祝日がある週は土曜出勤がありますが、制度利用者は子育て・介護のため、祝日がある週でも土曜日は休みのままにしました。正社員のままなので、厚生年金の加入、賞与・退職金も勤務時間に応じた額で支給されます。
経理・総務・デリバリーの業務もマニュアルを作成。4 人が3 種類の業務のうち、2 種類はできるように調整をしました。なお、3 人なら業務を回せるようになっていますが、2 人になるような日は日頃から取引関係にある行政書士、社労士といった専門家に業務依頼ができるような体制を整えました。
マイホーム建築で100 万円支給、手術代補助など、健康で安心して働ける嬉しい取り組み
近年、平金産業では、社員が健康で安心して⾧く働き続けられるよう、さまざまな制度を導入しています。マイホーム建築で100 万円支給、10 年ごとに勤続者には本人だけでなく配偶者にも10 万円支給、手術代を最大200万円補助するなど、福利厚生が充実。多方面から得た知識により、社員が喜ぶ制度を社⾧自らが次々に採用。これらの取り組みもあり、近年採用が難しいと言われている高校生の採用へと繋がっています。
- マイホーム支援……マイホームを建てる際、住宅ローンを契約した社員に100万円を援助。
- 誕生日プレゼント……社員の誕生日にはお祝いとしてギフトカタログをプレゼント。
- せん虫によるがん検査……検査代を補助。
- 人間ドック代の補助……40歳以上の社員が受ける際、3万円の補助を支給。
- 手術代の補助……社員や家族の手術の際、1家族につき最大200万円補助。
- 遺児手当の支給……社員が亡くなった場合、子どもの高校卒業まで毎月3〜10万円を支給。
- 休職手当の満額支給……病気や事故等で長期休暇が必要な際、傷病手当との差額を会社で負担し、満額支給。
- 永年勤続者表彰……勤続10・20・30・40年の社員には、本人とその配偶者それぞれに10万円の旅行券をプレゼント。
- 決算賞与支給……決算のタイミングで経常利益が損失分岐点比率80%を上回れば、超えた額の40%を決算賞与として支給。
- 資格取得制度……試験のための講習・試験費用を全額負担。ボイラー1級は月2万円、ボイラー2級や危険物取扱者乙4級は月1万円など、資格によっては毎月資格手当を支給。
- 有給休暇の繰越……入院を伴う療養や親の介護については、有給休暇を1年分延長可能に。
- 有給の時間単位取得……急な用事・病院等に対応できるよう、2時間単位での有給取得が可能。
- 介護休暇の時間単位取得……急病等に対応できるよう、1時間単位で介護休暇・看護休暇が取得可能。
高齢者の新規採用も実施。知識・経験を活かし、新たな仕事を担う
その他、希望すれば75歳まで働くことが可能で、また高齢者の新規採用も実施しています。高齢者の身体の負担を考え、作業内容や労働時間は本人との相談により調整。2023年には、74歳の高齢者を新規に採用。当初は、工場の作業補助としての入社でしたが、前職で排水処理に関わっていたことがある方で、その知識・経験を活かし、現在は排水処理の管理方法について社員に指導をしてくれています。他社での経験豊富な高齢者は、新たな風を社内にもたらしてくれたようです。
今後の課題・予定
平金産業では、せん虫によるがん検査、人間ドック代や手術代の補助等を導入し、現在、「健康経営優良法人 ブライト500」の取得を目指しています。
また、社員には環境整備セミナーに参加してもらい、掃除や環境整備の大切さを知ってもらう機会を設けています。毎朝15分間、新聞紙1枚程度の範囲を清掃していますが、それにより工場の機械の危険な部分やメンテナンスが必要な部分に気づく機会が多くなり、トラブルを事前に防げるようになりました。これらの取り組みの成果として、日本そうじ協会が実施している「掃除大賞」の受賞を目指して、プロジェクトチームを発足させ、受賞を目指しています。
取組によって得られた声
内定をいただいた際、1才の子どもがいたのですが、その後、2人目を妊娠。産休明けまで入社を待ってくださって、とても女性にやさしい会社だと思います。社長が働く女性に対して、本当に理解がある方で気持ちの面でも仕事しやすいですね。2022年より短時間正社員制度が導入され、私も早速活用させていただきました。人事評価も大きく変わることなかった点も嬉しいポイントですね。子どもの急病等で休まざるを得ないこともありますが、その間の仕事を補ってくれる方がいるので、安心して休むことができます。
独身時代から勤めており、その後、結婚、出産を経て、今は子育てしながら短時間正社員制度を利用して勤務しています。これまでは、土曜出勤の際は有給を使用する形で対応していましたが、短時間正社員制度のおかげで土曜出勤がなくなった点が一番助かっています。業務は、経理・総務・デリバリーの仕事を年単位でローテーションしているので、休んでも他にわかる人がいるのがいいですね。ただ、子どもの発熱など、急な欠勤になるので、今後は事前にある程度、いつ何をやるか業務内容を決めておき、より業務をスムーズに回せるようにできればと思っています。
取組企業からの声
会社を築いてきた私の父である先代たちが経営から退いたのを機に、社内制度を少しずつ変えていきました。それまでは昔ながらの経営を行っている部分があり、時には営業自粛をせざるを得ないようなトラブルがあったことも。このままでは良くないと経営計画を見直し、制度改革を行いました。
近年は、同業他社が廃業することも多く、魚のアラの引き受け先として新たな取引も増えてきました。残業が増えてきたこともあり、2022年には初めて新卒採用を行い、今では10代が4人、20代が3人と若手新入社員も増えてきました。
短時間正社員制度を導入したのは、3名中2名の欠勤が続いたのがきっかけでした。工場勤務の社員に経理・総務・デリバリーの業務を一時的に頼んでみたのですが、工場での作業と事務作業はあまりにも内容が異なり、指導する時間の方が作業時間を上回り、意味がない結果となっていました。3人から4人体制にすることで、8時間×3人=24時間が6時間×4人=24時間になり、結果の業務時間は同じ。該当の社員からは「働きやすくなった」と嬉しい声をもらっています。
取材メモ(編集後記)
今回ご紹介した取り組みは、社員からの要望でできたのではなく、長島社長自らの発案で実施している点も注目すべき点かと思います。社員の様子を日頃から気にかけ、多方面から得た知識・情報をもとに「従業員が喜ぶ取り組み」を導入していっています。特に「マイホームを建てたら100万円支給」といった取り組みは、非常に魅力的で多くの社員が制度を利用。さまざまな取り組みが功を奏し、高卒・新卒・中途採用といった求人面でも影響を与えているようです。
また、社屋は2018年に新しくしたばかり。経理・総務・デリバリーを担当する女性社員は、30代の子育て世代と60代の親の介護が必要な世代と年齢差があるものの、明るくきれいなオフィスで仲が良さそうに仕事をしているのが印象的でした。
(文責:河田良子)
平金産業株式会社
- 所在地
- 静岡県静岡市駿河区豊田2丁目9−17
- 電話番号
- 054-286-0288
- 業種
- 製造業
- 従業員数
- 31名
男性26 名、女性6 名
(正社員/男性25 名、女性6 名、パート/男性1 名、管理職/男性4 名)
※2023 年10 月31 日時点※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 1960 年7 月19 日
- ウェブサイト
- http://hirakinsangyou.jp