取組内容について

創業70年の歴史を持つ村田ボーリング技研は、溶射技術を中心に研削加工、鏡面加工等、独自の技術開発で業界トップの技術を提供している企業です。村田光生社長は、2013年から法政大学大学院の坂本光司教授の研究室で学び始め、「『村田で働けて幸せだった』そう言ってもらえる、いい会社を作りたい。これからは現場でも女性や高齢者、障がい者が活躍できる会社こそがいい会社だ。男女問わず、障がい者の方も高齢者の方も活躍できる場を作りたい」と考えるようになったそう。2015年から女性の雇用にも力を入れ始め、製造現場にも女性社員が入社することになりました。
「女性の働き方」の新しいカタチを提案し、充実した福利厚生に取り組んでいます。

女性の入社で変わった働き方の制度。2時間有給取得。3年間の産休・育休制度を導入予定

2015年に、製造現場に初の女性社員が入社したことを機に、制度を整えていくことになったと言います。まずは、産休・育休制度の再検討から。産休・育休制度の期間は2年間という企業が多い中、村田ボーリング技研では3年間を検討中。「会社側としては、ぜひ男性にも積極的に育休を取ってほしいですね」と話します。
また、10年ほど前から1日の有給を4分割で取得可能な2時間有給制度を導入。体調が優れない、病院や歯医者へ行く、子どもの用事、両親の介護などの理由で利用すると言います。2018年は、経営発表会で積極的な有給利用を呼びかけ、有給取得しやすい雰囲気に。旅行へ行くために2週間まとめて取得する社員もいるなど、取得率は75.5%まで上昇しました。

女性の入社で変わった働き方の制度。2時間有給取得。3年間の産休・育休制度を導入予定
子ども手当や会社負担で全社員がん保険加入など福利厚生が充実

子ども手当や会社負担で全社員がん保険加入など福利厚生が充実

社員の健康と幸せのためにと福利制度を充実させています。
毎月配偶者手当として1万円、子ども手当として5,000円を支給。また、2019年からは、出産祝い金の金額をあげ、第1子10万円、第2子15万円、第3子20万円へ変更。会社をあげて子育てを応援しています。
また、村田ボーリング技研では、万一に備え、会社が全額負担する形でがん保険の加入を決めました。パートも嘱託も含めた全社員が対象。少しでも社員の不安や負担を減らせればとのことで、懐の深さが伺えます。
このほかにも、「内定披露宴」や「親孝行手当」など家族へ感謝する場を設けたり、誕生日にはバースデーケーキと社長からの手紙のプレゼントがあったりと、ユニークな取組がたくさんあります。

著名講師を招いての勉強会、資格取得全額補助など教育制度を整える

年2回、著名講師を招き、全社員参加のスキルアップのための勉強会を開催。過去には、「君が働く理由」「サービスからホスピタリティへ」などといったテーマで実施しています。なお、この勉強会は一般にも公開しているそうです。
また、村田ボーリング技研では、溶射技能士、溶射管理士、クレーン講習、フォークリフトなど、業務に関わる資格であれば、合否に関わらず、交通費、宿泊費を含め、資格取得にかかる費用を全額会社負担しています。取得が難しいとされる溶射管理士は、大阪で3泊4日の講習が必要ですが、これも全額会社負担です。
毎年1月には、どのような会社を目指すか、全社員と共有する全社員参加の経営発表会を実施しています。その中で、社長賞をはじめ、「毎朝ごみを集めてくれたで賞」「花壇をきれいな花で埋め尽くしてくれたで賞」など、一年間の功績を称える表彰式もあり、社員のモチベーションへと繋げています。

著名講師を招いての勉強会、資格取得全額補助など教育制度を整える
定年後の働き方を用意。障がい者雇用や授産福祉を積極利用

定年後の働き方を用意。障がい者雇用や授産福祉を積極利用

現在、13名の60歳以上の高齢者が勤務し、最高齢は78歳。勤続50年の社員も3名います。定年後も本人の希望を優先し、働き続けられる環境を用意。また、パート・嘱託では、週5日3時間だけ、週4日午前中のみ、扶養内でなど、本人の希望により多様な勤務形態が可能となっています。
2001年から社会貢献の一つとして、点字名刺を導入しています。点字を入れることで、障がい者の雇用が増えてほしいという想いがあります。また、名刺交換の際、ほぼ必ず相手先から指摘を受けるそうで、印象に残すきっかけとなっているそうです。
2019年からは障がい者授産施設で作られたクッキーを定期的に購入し、100〜300円の商品を社内で一律50円で販売。差額分は会社で負担し、売上の50円も寄付しています。社員は、職場でおやつとしていただいたり、家族へのお土産として購入したりしているそう。来客用のお茶菓子としても提供しています。

取組によって得られた声

製造一課二係(小型研磨)

大瀧千鶴さん

職人へ憧れて就職

研削部門というところに所属し、研磨加工をしています。テレビでハサミや包丁をつくる職人さんを観て、漠然と憧れのようなものがありました。きれいに早く製品が仕上がることにやりがいを感じています。上司からは、「丁寧で作業が細かい」と言っていただくことがあり、職場環境を整える上でも女性ならではの視点や技術があるのではないかと考えています。村田ボーリング技研は、毎日目標があり、努力できる環境。そういったところが村田ボーリング技研に入ってよかったと思う点です。

取組企業からの声

代表取締役

村田光生さん

女性が活き活きと働ける環境づくりと場の提供が会社の使命

弊社は、製造業という仕事柄、男性が多い会社でした。しかし、女性社員の入社をきっかけに、女性が働きやすい環境を整えていくことは、実は男性社員にとっても働きやすい環境になるのだと実感しました。「人が働きやすい環境」を作り上げていくために、これからも制度を変えていくつもりです。現在、新社屋を建設中で、女性用シャワー室や、自由な雰囲気の社員食堂ができます。社員一人ひとりが幸せを感じてくれて、「村田ボーリング技研に入れてよかった」と思ってくれるような会社にしていきたいですね。

取材メモ(編集後記)

90名近くの従業員に対し、誕生日のプレゼントと社長手書きの手紙を用意するのは、なかなか大変なこと。社長の村田さんの社員を思いやる気持ちが伝わってきました。89名中女性は9名のみと、まだまだ女性が少ない会社ではありますが、近年、女性社員を積極採用し、女性ならではの強み、やりがいを打ち出した「溶射女子」を掲げています。これから女性が増え、会社がどんなふうに変化していくのか、将来がとても楽しみな企業です。

(文責:河田良子)

村田ボーリング技研株式会社

所在地
静岡市駿河区北丸子一丁目30番45号
電話番号
054-259-1251
業種
金属加工業
従業員数
89名 

男性正社員71名・男性非常勤9名
女性正社員7名・女性非常勤2名

※人数は取材時のものです

設立年月日
1968年12月26日
ウェブサイト
https://www.murata-brg.co.jp
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