取組内容について

創業220年を誇る鈴与グループ。さまざまな事業を展開する中、「鈴与商事」では、LPガス、電気、太陽光発電といったエネルギーを取り扱う事業を主とし、他に住まいやカーライフ、くらしサポートといった事業を展開。東海エリアをメインに展開している企業です。

ペーパーレス化を推進し、テレワークが可能な状態に

5〜6年ほど前から従業員へモバイルパソコンを配布し、ペーパーレス化を推進。クライアントによっては出力書類も必要であることから、モバイルプリンタを用意し、テレワークに対応できるようにしています。ペーパーレスFAXから、申請書、会計伝票、稟議書等などの社内書類に至るまで、ペーパーレスを実現しています。テレワークができるという利点以外にも、作業スピードもあがり、書類紛失がなくなるなど、その他の効果もあるとのことです。
また、令和2年春の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を機に、全従業員へのスマートフォン支給を実施。令和2年冬には用意が整い、その後の緊急事態宣言下では3割出社が実現できたそうです。共有のExcelで出社管理をしており、令和3年11月現在も7割出社の状態で、在宅勤務をしている従業員もいるとのこと。今後も在宅勤務は継続していくそうです。

ペーパーレス化を推進し、テレワークが可能な状態に

残業時間が月平均20時間から15時間まで削減

年間10日の有給取得を目標とし、有休取得状況を全従業員に公開。令和3年3月時点での平均有給取得日数は10.0日を実現しました。
また、多様な働き方ができるように、フレックスタイム制度、月変形労働時間制度を導入。フレックスタイム制度は主に営業職を中心に利用が進んでいます。また、月末月初は業務が忙しくなる事務職は、月変形労働時間制度を利用。業務に余裕がある月中は2〜3時間のみの出勤に留めるなど、就業時間を調整しているといいます。なお、所定外労働時間が20時間(以後10時間ごと)を超えると、本人と上長、組合にメールでアラートが入るようになっています。
これらの取組の成果があり、5〜6年前ほどから残業時間が減り始め、残業時間が月平均20時間ほどだったのが、現在では月平均15時間まで抑えられています。21時以降の残業は基本的には認められておらず、パソコンのログが残っていた際には状況の確認が入ることもあるようです。

育休明けのスムーズな復帰を手助け。配偶者分娩時の特別休暇も

育休明けのスムーズな復職ができるよう、産休・育休中も、スマートフォンから社内メールや掲示板は閲覧可能な状態にしています。妊娠報告時、産休2カ月前、復帰後2カ月には、対面、あるいはオンラインでの面談を実施。復帰後の時短勤務は、法定3才までに対し、小学校入学まで可能としています。復帰後は、フレックスタイム制度や月変形労働時間制度を活用でき、周囲の理解も進んでいるとのこと。育休後の職場復帰はほぼ100%を達成し、女性従業員からも働きやすいと評判。出産・育児を理由に退職した従業員を対象とした復職制度も用意しています。
また、男性は、配偶者の分娩時の2日間は特別休暇が取得でき、こちらは創立時から用意されていた制度。ほとんどの男性社員が利用しているそうです。男性の育休取得も促進しており、人事部から対象者に個別に案内メールを送付。1〜4日程度取得する人が多いようですが、中には2週間、1カ月程度取得した人も。令和2年9月〜令和3年8月までの男性の育休取得率は44%だったそうです。

仕事と介護の両立支援セミナーの実施や相談窓口を用意

鈴与グループでは介護事業を行っていることから、介護保険の対象者に向けて年1回「仕事と介護の両立支援セミナー」を実施。介護保険の制度の話から、介護休暇のこと、親子・兄弟での話し合いの大切さなどを教えてもらえる場となっており、とても参考になると従業員から好評を得ています。介護に関しては、一般的にまだまだ相互理解が進んでいないことも多く、職場での相談もしにくい雰囲気があります。こういったセミナーを実施することで、介護離職防止に繋がっているといいます。
また、会社の費用負担で、介護に関する外部相談窓口を設置。休日や深夜などの緊急の相談も介護のプロに対応してもらえるので、とても心強い制度となっています。

一人ひとりのキャリアデザインをサポート

一人ひとりのキャリアデザインをサポート

上司によるキャリア開発面談を年1回実施。人事部が各拠点を回り、セクハラ、パワハラ等の問題が起こっていないかを確認する面談も行っています。階層別研修や、社内インターン、異動、コース転換などについても本人と一緒に考え、キャリアデザインをサポートしています。中でも、3年ほど前から実施している社内インターンは、他の事業を体験することで仕事の幅を広げ、また新たな興味を広げるきっかけになっているとのことです。
また、指定の通信教育講座を受講し、修了すれば費用の半額を会社が負担。語学、ボールペン字、Microsoft Office関係、会計、心理学、社会保険労務士、カラーコーディネート、インテリアコーディネーター、食育など、主には会社の事業に関連する講座が中心ですが、本人の業務に関連がなくても受講可能。電気工事施工管理技士、エネルギー管理士、中小企業診断士、ガス主任技術者といった難易度が高い公的資格取得に関しては、受験費用や交通費を全額負担し、取得時には報奨金を支給しています。
なお、現在、営業活動の方法、コンプライアンス、経理知識などが学べるセミナー動画を作成し、従業員が自由に見られてスキルアップできるよう準備中とのことです。

企業と従業員の間の溝を埋める取組や表彰制度

エンゲージメント・サーベイ(=企業と社員間の心のつながりを可視化する診断ツール)を導入し、その結果により、経営層へのワークショップを実施。社長自らが各支店を巡回し、課題解決に努め、従業員がより働きやすい環境を整備しています。
また、社長、役員、人事部が各拠点に出向き、女性事務職を対象にディスカッションを行う「なでしこ鈴与会」を開催。女性事務職の業務内容を共有し、困りごとの相談や提案を行える場も用意しています。
その他、社業発展に関する功績を残した人、有益な業務改善提案を行った従業員に対しての表彰制度を用意。受賞者には報奨金を支給しています。作業着のデザイン刷新、Web会議の背景画像の提案、名刺にホームページのQRコードを入れる、社用車にドライブレコーダーの導入、請求書の窓付き封筒の部分のパラフィン紙への変更などは、従業員からの提案によって実現した内容だそうです。

企業と従業員の間の溝を埋める取組や表彰制度

特別支援学校の生徒を実習生として受け入れ、採用へと繋げる

定年後の再雇用を65才まで延長し、人財の有効活用にも努めています。
障がい者雇用にも積極的で、特別支援学校の生徒を実習生として受け入れ、その後の採用へと結びつけています。法定雇用の人数に対し、120%達成と受け入れ人数は多め。先に実習を行うことで、障がい者にとっても受け入れる側にとっても、就業後のギャップが少なくなっているそうです。また時には特別支援学校の先生にも職場体験をしてもらうことも。学校側での認識の食い違いも少なくなりました。

取組によって得られた声

齊藤彩乃さん

2017年入社

スキルアップに繋げられればと、会社指定の通信教育講座の中からExcel講座を受講。業務で役立つ部分も多いですね。
また、有給取得するのが当然という雰囲気があり、他企業に勤める知り合いと比較しても、有給を取りやすい雰囲気があると思います。残業も少なく、上司の目を気にせず先に帰宅できる風土もありますね。
社内には3人のお子さんがいて時短勤務している方も。周囲も気を遣って協力してくれていて、急病の時などは「早く帰りなよ」と言ってもらえているようです。女性にとっても本当に働きやすい制度と環境が整っていると思いますよ。

瀬戸健志さん

2010年入社

育休を2日取得しました。子どもが2人いるので、上の子の行事の際に妻が付き添い不在になるので、代わりに下の子の面倒を見たり、その他子ども絡みで有給を取得したりすることはよくあります。有給を取得しやすい雰囲気というのはいいですね。他にも、自己啓発として財務関係の基礎コースを受講。半額の補助が出るのは嬉しかったです。

取材メモ(編集後記)

以前より、従業員から、従業員の子どもや知り合いについての就職活動の相談を受けることがあり、2021年には従業員の相談窓口を開設。就職活動の進め方のレクチャーやエントリーシートの添削、面接のノウハウなどを教える場を用意しました。他社の就職相談に対応しており、すでに実績多数とのこと。
経済産業省が行う「健康経営優良法人(ホワイト500)」(=地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度)を取得している点も注目すべき点です。ハードルが高く、取得は難しいと言われているそうです。
従業員の提案が採用されたり、業務に直接関係ない講座を会社補助で受講できたりと、従業員のやりがいとキャリアアップを育んでくれる環境。今後の展開も楽しみです。

(文責:河田良子)

鈴与商事株式会社

所在地
静岡市葵区栄町1-3 鈴与静岡ビル
電話番号
054-273-7759
業種
卸売り
従業員数
564名 

男性431名、女性133名

※人数は取材時のものです

設立年月日
平成2年6月8日
ウェブサイト
https://www.suzuyoshoji.co.jp/
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