取組内容について

「株式会社プラポート(以下、プラポート)」は、IoTや人工知能(以下、AI)の必要性が叫ばれる現代で、モノづくりの未来を支えるプラスチック加工メーカー。FA(ファクトリーオートメーションの略。工場などにおける生産ライン等を自動化するシステム)・産業機械の製造における部品の精密切削加工を短納期・高品質で実現しています。2020年に代表取締役に宮季高正さんが就任したことを機に、経営理念を「生きがいと感動の創造」という言葉に刷新。従業員がいきがいを感じられるよう、「働きがい改革」を推進しています。人が考えなくてもできる単純な作業はAIや機械に、発想力が必要な作業は人に。お客様が感動できるスピードと安心、そして課題解決に向けて全従業員がやりがいと生きがいをもって提供できる体制づくりを目指しています。

社内の生産性をあげるとともに、職場環境を大改革

プラポートでは、2020年の経営理念の変更を機に、「日本で業界トップクラスのスピードの価値」というテーマを掲げ、さまざまなAI、IoTの取り組みを導入。これまで2〜3週間かかっていた納期を1週間以内に短縮。そのために、以下の改革を行っています。

これまでは、土日祝を休日としていましたが、工場を稼働するように。実際に平日休みを取り入れたところ、観光地や飲食店が混雑していないというメリットに気付き、平日に休みを希望する従業員も出てきました。シフトは複数希望提出できるようになっており、有休と組み合わせて平日を4連休として旅行をする従業員も。業務もこれまで完全分業化でしたが、多能工化することにより、部署の垣根を超えて他の機械も扱えるようにしました。これにより、属人化していた業務が減り、休みも取りやすくなりました。また、繁忙期には業務をフォローし合えるように。これまで部署ごとに残業時間数にばらつきがありましたが、一定程度、均一化が実現できました。

これらの改革により、生産性があがり、2015年は従業員数30人だったところ、2022年7月時点では80人の規模になりました。2021年には初めて新卒採用をスタート。新しい取り組みに魅力を感じ、優秀な人材が応募してくれているそうです。

職場環境も大きく改革。いわゆる町工場のような雰囲気だったオフィスを、未来感あふれる雰囲気に大幅リニューアル。食堂はヨーロッパから輸入したデザイン性のあふれる家具を使用しています。軽食販売の自動販売機や、ウォーターサーバーも導入し、お茶や水、ドリップコーヒーも自由に飲めるようにしました。
また、近所のお店でランチ会を開催。部署内でのコミュニケーションを深めるようになりました。

評価シートを作成し、具体的な目標を設定。女性管理職の誕生へ

評価シートを作成し、具体的な目標を設定。女性管理職の誕生へ

改革にともない、プラポートでは一部上場企業と同レベルの給与を支給。以前より役職の制度はあったものの、明確な基準がなかったので、管理職コースと専門職コースを設置し、それぞれにあったキャリアアップの推進をはかるようになりました。野球の大谷翔平選手が実践していた「原田メソッド」(「目的・目標設定」「行動計画」「自己分析」で構成される自立型人間育成プログラム)をもとにした評価シートを本人と上司の相談により作成。毎月実施する面談は、上司のほか、人事課や代表取締役も同席。具体的な行動に移しやすくなり、キャリアアップに繋げています。これにより、28歳の女性管理職も誕生しました。

また、日報は全従業員が見られるようにGoogle Chatで報告。各々がどういう仕事をして何を考えているかがわかるようになり、共通の価値観の醸成にも役立っています。なお、日報の中で改善点等の提案があれば、リーダーが拾い上げ、翌朝の会議で解決策を検討。可能な限り即日解決させるというスピード感を大事にしています。ちなみに、この日報による改善提案と普段の仕事ぶりが評価され、パートで入社した従業員が正社員へ登用された例もあります。

限定正社員の新設や外国人技能実習生の受け入れで多様な人材を活用

2022年に男性従業員から、パートナーが医療関係者で忙しいことから退職して子育てと家事に専念したいという申し出がありました。そこで、できるだけ仕事を続けてもらえたらという思いのもと、限定正社員という制度を新設し、当該従業員を9:00〜16:00の勤務としました。他にも、パート勤務への雇用形態変更も可能。今後も希望に応じて、従業員が継続して働けるよう調整していくそうです。
2017年頃からベトナム人の技能実習生の受け入れをスタート。2022年現在では、6人を受け入れています。パフォーマンスが高く、新入社員にも業務を教えてくれるなど、周囲の従業員にとっても刺激になっています。会社として日本語のサポートはもちろん、一緒にランチや市内の観光スポットに行ったりもしているとのことです。

限定正社員の新設や外国人技能実習生の受け入れで多様な人材を活用

取組によって得られた声

製造部製造1課旋盤グループリーダー

大石 大貴さん

2018年入社

妻が医療従事者で忙しいため、自分も家事と子育てをしたいと思いました。上司に相談したところ「限定正社員」という制度を用意していただき、仕事と家庭の両立が出来る環境を整備してくださいました。正社員として残業等をするのは難しいですが、9:00〜16:00勤務であれば両立できると思い、旋盤グループのリーダーとして同僚のサポートも受けながら柔軟な働き方をしています。

取組企業からの声

代表取締役

宮季 高正さん

従業員の働く環境を整える取り組みを引き続き検討中

一般財団法人日本次世代企業普及機構が定める「ホワイト企業認定」にも積極的に応募。企業のホワイト化を総合的に評価する認定制度ですが、2021年10月にレギュラーランクを取得しました。これは県内の製造業では初となる取り組みになりました。また、2022年4月にはブロンズランクを取得。来年はシルバーランクを取得できるように準備中です。
また、食堂の壁には従業員の顔写真と、趣味、資格、業務上のスキルを星で評価したものを掲示。こちらも互いを知ることができる機会になり、また他部署から業務を依頼するきっかけになるなど、好評を得ています。
社内のリニューアルは継続しており、今後は防音の個室空間や書籍コーナーを用意し、集中して作業が出来る環境を整える予定です。

取材メモ(編集後記)

子会社の「株式会社REVOX(以下、REVOX)」は、代表取締役を宮季高正さんが兼務している、従業員2人の会社。1人は静岡市内在住ですが、もう1人は横浜市在住。フルリモートワークになっており、月2回ほど交通費を全額会社負担で出社。従業員もこの時ばかりは旅行するように出社しているそうです。将来的にはREVOXのオフィスを構え、よりワーケーション気分で仕事をしてもらうことが夢とのことでした。

(文責:河田良子)

株式会社プラポート

所在地
静岡市清水区半左衛門新田135-1
業種
製造業
従業員数
80名 

男51名、女29名
(正社員/男36名・女8名、管理職/男9名・女1名)
※2022年7月15日時点

※人数は取材時のものです

設立年月日
1990年11月15日
ウェブサイト
https://www.plaport.co.jp
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