取組内容について

生産現場へ女性を積極的に採用

生産現場へ女性を積極的に採用

ねじの製造現場で、初めて女性社員を採用したのが2012年。事務職として採用された女性社員が、工場実習を行う中で「ねじの製造」に興味を抱き、社長面談で「現場の仕事をしてみたい」と直訴したのがきっかけだった。これを機に、誰もが隔てなくあらゆる仕事に携わる機会を設けることとなり、現在、職人・技術者合わせて11名の女性が製造の現場で「ねじガール」として活躍している。採用現場でも「ものづくり」に興味のある女性からの問い合わせやインターン希望者が増加。優秀な人材の獲得に成功している。

職場環境を整備

女性社員の工場勤務にあたり、男性特有の職場環境を女性目線で組み立て直した。着手したのは女性トイレの増設。完全個室で、カーペット、ソファとパウダールーム、空調を完備した心地よい空間だ。また、製造現場においては、重筋作業の軽減や危険回避のため、電動リフター、工作機械を導入したり、腕力がなくてもボルトを締められるロングレンチの利用も。さらに職場内をクリーンに保つための整理整頓(5S活動)の質も向上。こうした取り組みは、女性のみならず男性社員の負担も軽減し、作業効率や精度アップにも繋がっている。

職場環境を整備
子育て支援・有給休暇の推進

子育て支援・有給休暇の推進

産休取得の支援及び、産休明けもスムーズに会社に復帰できるよう、時短勤務など個別の要望にも柔軟的に対応。また、部署内外を含めたジョブローテーションを実施することで、育児休暇などで欠員が出た場合に対しても柔軟に対応できる環境を構築。仕事のムダやムリ、ムラの改善、適材適所が明確になるなど、副次的効果も上がっている。また、有給休暇100%消化を目標に、1時間単位で利用できる「時間制有給休暇制度」や、部署毎の生産計画が達成された場合に有効となる「年間7日の隠れ休日」などユニークな制度を設け、好評を得ている。

取組によって得られた声

ファクトリーチーム

佐野瑠美さん

入社年数/入社5年目   
趣味/部屋の片付け・ドライブ

ものづくりに対しワクワクした心さえ持っていれば、年齢を重ねてもずっと「ねじガール」(笑)

2012年4月に入社。事務職志望だったのですが、ねじの製造現場に魅力を感じ、社長面談で「現場で自社製品のことを学びたい」と相談したのです。「新入社員の私の言うことなんかに、社長が耳を傾けてくれるわけない」と半ば諦めていたのですが、社長からは「やってみる?」の一言。驚いたと同時に、希望の光が見えてきて、俄然やる気になったのを覚えています。この会社の素晴らしさは、柔軟性・発想力・実行力が揃っていること。私を製造部に配属させてくれたことはすごい決断だったと思いますし、安全と働きやすさを考慮し、電動リフター、工作機械、ロングレンチなど次々と対応策を導入してくれたことにも感動しました。仕事がうまくいかなくて落ち込んでいると、社長みずから「どうしたの?」なんて声かけてくれる、そんな会社ってそんなにないんじゃないでしょうか?部署内間はもちろん、社長や管理職との人との距離もとても近く、アットホームな雰囲気も魅力だと思います。
入社5年、扱いが難しいといわれるチタンやチタン合金ねじの製作も少しずつですができるように。ねじの製造は、人に宿る技術がなければ形になりませんし、同じ設備・材料・金型を使っても、担当者によって、出来てくる製品は違います。近い将来、自分だけのオリジナル製品「瑠美スクリュー」を作ってみたい…、それが私の夢です。この仕事が大好きだから、結婚して出産しても、ずっと続けていきたいと思っています。え?年を重ねたらガールじゃなくなるって? 大丈夫です、ものづくりに対しワクワクした心さえ持っていれば、興津螺旋ではずっと「ねじガール」でいられるんです(笑)。

取組企業からの声

代表取締役社長

柿澤 宏一さん

女性を大切にする職場づくりは、女性も男性も幸せにする

工場の製造現場の仕事は男性の仕事…というイメージがありますが、私は10年程前から「この仕事に性別は関係ない」とずっと思っていました。「工場は男性、事務職は女性という採用枠を外し、現場にも女性を迎え入れられるよう職場環境を整えたい」そう考えていた矢先に、入社したのが佐野さん。彼女は自ら希望し“ねじガール”第一号となりました。そこから本気で始めたのが職場変革。男性特有の職場環境を女子目線でゼロから組み立て直し、結婚・出産・育児を経ても安心して職場復帰し、自分らしく活躍できるための支援制度も作りました。女性目線の改革は、重労働や危険の回避など、女性のみならず、男性社員への援護射撃にもなったと思います。「女性を徹底的に大切にする職場づくりは、女性も男性も幸せにする」ということを今、実感しています。これからも、従業員一人一人が活き活きと働ける職場づくりを目指し、さらに進化させていくつもりです。

取材メモ(編集後記)

興津螺旋の休憩室には、誰もが食べられるソフトクリームマシーンがある。ちなみに、ソフトクリームがねじれていることから、社内では「ミルクねじ」と呼ぶ。社長自らの手によって、調合されたこだわりのクリームは、季節ごとに脂肪分が調整され、時には抹茶や燻製醤油味など、特別なフレーバーも登場する。また新社屋1Fの工場内には、社員レンタル用のポルシェがあり、社員であればレンタル可能。ポルシェならではの乗り心地を体感できる。
このユニークな制度は「ものづくりの感性を磨いてほしい」という社長の思いから生まれた。確かに「感性」は机で勉強しても身に付かない。何気ない日常生活を楽しめる「感性」を持つことが、仕事や人生をより豊かにしてくれる「鍵」なのかもしれない。

(文責:有馬奈美)

興津螺旋株式会社

所在地
静岡市清水区興津中町1424
電話番号
054-369-0111
業種
ねじ部品の設計・製造・販売
従業員数
77名 

男性38名、女性39名/平均年齢35歳

※人数は取材時のものです

設立年月日
昭和19年6月
ウェブサイト
http://www.okitsurasen.co.jp
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