取組内容について

水産加工工場からニオイをどうにかしてほしいという相談を持ちかけられたことをきっかけに、消臭製品を開発。日本に「消臭」という言葉の誕生のきっかけをつくった消臭剤のパイオニアでもある企業です。業務用をはじめ、近年は一般向けにも販売。新型コロナウイルスの感染拡大により、巣ごもり需要が拡大。家庭用消臭剤のニーズが高まり、さらなる人材の活躍が急務となってきています。

妊娠・出産を経て復帰し課長職へ就任。ロールモデルに

企業において、優秀な人材の確保と流出防止は、重要な課題の一つ。「ハル・インダストリ」では、新卒採用は高校生限定で行い、社内育成に力を入れ、優秀な人材へと導いています。
平成18年、高校卒業後に入社した大石未来さんは、現在、web事業部の課長として活躍しています。平成26年に第1子の妊娠に伴い、産休・育休へ。平成27年9月に復帰予定でしたが、年度途中だったため子を保育園に入れることができず、待機児童となってしまいました。半年の育休延長を受け入れ復帰を待っていたところ、第2子を妊娠。引き続き、産休・育休となり、復帰したのは3年後の平成29年でした。復帰後は9:30〜16:30の時短で勤務していましたが、令和元年に第3子妊娠に伴い、産休・育休へ。令和2年6月に復帰しましたが、コロナ禍であったためテレワークと6時間のフレックス勤務を導入し、育児と仕事の両立をサポート。令和2年8月にはweb事業部の部門長として課長に就任しました。

法律に定められた産休・育休制度そのもの自体は存在していましたが、対象となる従業員は大石さんが初めてだったとのこと。大石さんの事例は、他の若手女性従業員が次のステージを目指せるような環境を用意しようと考えるきっかけになったといいます。
大石さんが所属するweb事業部には、大石さん同様に高校卒業後に新卒入社の若手女性従業員が数名所属。彼女たちにとって、大石さんはロールモデルになっているそうです。

妊娠・出産を経て復帰し課長職へ就任。ロールモデルに
テレワークやフレックス勤務の導入で、男性の育児参加もサポート

テレワークやフレックス勤務の導入で、男性の育児参加もサポート

新型コロナを機に、従業員の希望によりテレワークを導入。製造業であることから、すべての従業員へのテレワークの導入は難しいですが、本人の希望と業務に応じ、テレワークを利用できるようになりました。中には、子の関係で、半日有給を取得し、半日テレワークを利用する男性従業員も。男性も育児参加がしやすくなりました。個々の希望に合わせ、柔軟に対応するようにしているそうです。
大石さんは課長職として後輩の面倒を見ながら、現在も週2〜3日はテレワークを利用。保育園の送迎の関係から出社時間を30分遅くしたフレックス勤務をしているそうです。

会社の成長へと繋がる資格取得を支援

従業員からの自己申告により、取得する資格が会社にとって有益である判断される場合は、会社が個々に資格取得費用を助成しています。経理の仕事をしている女性従業員がフォークリフトの免許を取得したいと希望した際には、その費用を会社が負担しました。製造業であることから、フォークリフト免許を持つ従業員は数人いますが、シフトの関係で不在になることも。一人の業務範囲が広がるのは会社にとっても有益であると判断したそうです。他にも、業務に必要な臭気判定士の資格取得はその費用を助成しています。

会社の成長へと繋がる資格取得を支援

障がい者や外国人も雇用し、多様な人材が活躍

「体力・気力が続く限り、仕事を続けて欲しい」というのが、「ハル・インダストリ」の社長の方針。定年制を実質的に撤廃し、5人のシニアが活躍中です。給与は60才時の支給額をそのままスライド適用している点も注目すべき点です。
また、法定雇用率以上に障がい者を雇用し、現在2名が活躍。多様な人材の活用は、企業としても多くの学びがあり、一人ひとりを認め、伸ばしてあげることはとても大切だという気づきのきっかけになったそうです。
その他にも、一度退職した従業員の再入社も歓迎しており、たとえば、ある男性社員は、退社した後3年ほど農業に従事し、再び入社したそうです。会社を成長させるには、一緒に頑張ってくれる人材をどれだけ集められるかが重要と考えており、再入社を希望する従業員を温かく受け入れる風土を整えています。

取組によって得られた声

Web事業部 課長

大石未来さん

2006年入社

夫は夜勤がある職業のため、テレワーク勤務やフレックス勤務はとても助かっています。通勤時間が40分〜1時間ほどかかるため、その時間を子どもの習い事の送迎などの育児や家事に充てられるのは時間の節約になります。通勤に時間がかかる後輩も、時間節約のためにテレワーク対応することもありますね。今は便利なチャットツールやWeb会議システムがあるので、テレワークをしていても隣にいるような感覚で仕事ができるので、特に不便を感じることはありません。

取組企業からの声

管理部 部長

安達正樹さん

女性が働きやすい環境を整えることで、人材流出を防ぎ、長く働ける場所に

私たち中小企業にとって、優秀な人材確保は重要な経営課題の一つです。大企業と同じフィールドでの人材確保競争は難しく、できることをできる範囲で育てることが大切だと考えています。新卒採用は高校生にしぼり、社内育成によりハイレベルな人材へと育てています。そのために、女性がライフステージの変化に合わせて働き方を選べるよう、さまざまな働き方の選択肢を用意しました。また、その実例としてロールモデルの従業員を設定し、他の従業員が自分の将来設計を描けるようにしています。

取材メモ(編集後記)

企業によっては定年後は嘱託社員として給与減になることも少なくありませんが、「ハル・インダストリ」では再雇用契約を結んだあと、給与は60才時の支給額をそのままスライド適用しているとのこと。シニアにとって働きがいのある職場になっているようです。また、従業員個々の事情に応じた働き方を用意し、多様な人材が活躍できる風土が整っていると感じました。

(文責:河田良子)

株式会社ハル・インダストリ

所在地
静岡市駿河区西脇296番地の1
電話番号
054-284-7081
業種
製造業
従業員数
47名 

男性15名、女性32名

※人数は取材時のものです

設立年月日
昭和58年9月22日
ウェブサイト
https://www.halindustry.co.jp/
MAP

他の事例も見る