株式会社リバティー
- 所在地
- 静岡市駿河区稲川3丁目2番23号
- 電話番号
- 054-281-3931
- 業種
- ソリューション事業・コンサルティング事業・旅館業
- 従業員数
- 302名
男性121名、女性181名
※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 昭和60年7月6日
取組内容について
日本全国の小規模宿泊施設に対して、販売から決算までを一元管理する経営支援システム「あすなろ」の開発・販売を行うとともに、集客サポートサービス「すけさん」のサポート業務等を行っている「リバティー」。平成29年に河津町の「AMAGISO ―天城荘―」の民事再生を行ったことを機に、その後も河津町の「Amis Droles ―アミ・ドローラ―」、静岡市駿河区の「リバティーリゾート久能山」、掛川市の「リバティーリゾート 大東温泉」といったリゾート施設の経営も行っている企業です。
男性中心の会社から女性が活躍する職場へ
「リバティー」は、システム開発を主業務としていたこともあり、もともとは男性従業員中心の会社でした。平成22年、集客サポートサービス「すけさん」がスタート。旅行は女性の利用も多いことから、女性目線を取り入れた方が良いという意見があがり、女性従業員の積極採用をスタートしました。
旅館へのサポート業務は、チェックアウトから次のチェックインまでの時間帯が中心なので、お子さんが保育園・幼稚園・小学校へ通っている子育て世代の女性が勤務できる時間帯と一致。ただ、当時は毎日遅くまで残業している人も多かったそうで、子育て中の女性を採用することに不安視する声もありました。
最初は入力作業などの単純業務からスタートしてもらい、慣れたところで、時給も上げてより高度な業務を担当してもらうことを検討。この時も「たいへんな仕事をパートの女性にお願いするのは負担があるのでは?」という声も上がったと言います。単純業務を好む人、よりやりがいがある業務に携わりたいという人、それぞれに希望があったので、「チーム制」を導入することにしました。
「パッチワーク勤務」で育児中の女性も働きやすく
「チーム制」を導入したことで、子育て中や介護中の方も働きやすくなりました。1チーム数人の社員に対して、5〜10人程度のパートスタッフが入るという体制をとり、それぞれをお互いがフォローできるように業務を調整。一人に負担がかからないよう配慮した「パッチワーク勤務」の形をとることで、急な早退、遅刻、休暇にも柔軟に対応できるようにしました。
また、産休・育休明けの職場復帰率も90%近くと高め。育児中は10:00〜15:00の勤務を基本とした1時間単位でのシフトを調整。毎月シフト調整が可能なので、柔軟な働き方が可能となりました。
チーム制の導入に伴い、業務を効率化。残業削減へ
チーム制導入に伴い、業務の計画の立て方を見直し、残業も少なくなりました。残業する場合は申請し、上司の許可を得なければなりません。また、毎日定時10分前に終礼という形で、その日の業務への区切りのタイミングをつくったことも大きいようです。
旅館で働く高齢の従業員を継続雇用。外国人採用も積極化
平成29年に河津町の「AMAGISO ―天城荘―」の民事再生を行った際、従業員の高齢化も進んでいましたが、継続雇用を維持。定年は60歳ですが、再雇用で65歳まで就業可能に。それ以降は本人の希望と能力に合わせ、雇用を検討。中には80歳以上の方もいるそうです。
外国人観光客の増加も見据え、正社員としての外国人の積極採用を推進し、現在では社員の10%が外国人だといいます。
従業員が302人と多く、境遇もさまざまですが、社長自身が各支店や各旅館を訪問し、会社の方針を説明し、従業員一人ひとりと対話する場も設けています。部長・支店長による全従業員との定期的な面談を行い、必要に応じて人事部との面談の機会も用意しているそうです。
英検や簿記の入門資格の取得を推奨。英語の社内公用語化を目指す
今後の海外展開も見据え、日常会話ができる程度の英検3級の取得を推奨。数年後には社内の公用語を英語にすることを目指し、英語で朝礼を実施することもあるそうです。
その他、従業員全員が経営目線で業務を見通せるようにと、日商簿記3級の資格も推奨。資格取得に際しては自分自身での勉強が必要ですが、実際に業務でも活用できるよう、社内のエキスパートによる実践講座も開催しています。
外国人従業員へのサポートと相互理解ができる風土を形成
日本人従業員に対し、母国語でない異国の地で働くことの難しさを伝え、お互いにリスペクトして仕事ができるよう組織風土を構築。外国人従業員も、コミュニケーションを積極的に図り、ビジネスレベルの日本語を話せるようになっているそうです。
また、外国人従業員に対しては社宅の支援を行い、在留資格の取得・更新は、担当部署と連携しサポートをしているといいます。今後は外国人が母国に帰省しやすいような環境づくりも整えていく予定とのことです。
取組によって得られた声
当社では、チームでフォローし合える体制が整っています。Webデザインにおいては、デザインからコーディングまでを1人が行い、時にはクライアントへの連絡などを伴うディレクション業務もあります。人により得意不得意があるので、チーム制を導入することで、それぞれの得意な分野を中心に手掛けられるようになっています。
子育て中の人、健康面で不安を抱え在宅勤務をしている人、介護がある人など、通常であれば正規での勤務が難しいような境遇の人がいるのですが、当社ではリモートで作業状況がわかるようになっているので、出社しなくても在宅勤務が可能。さまざまな人の働く場の創出になっていると思います。
入社当時、子どもが小学校1年生と3年生だったので、週4回9:00〜16:00という勤務をしていました。やがて子どもが大きくなり、2019年には勤務時間を9:00〜18:00に延長。このタイミングで正社員への雇用を打診され、正社員になりました。
私が所属する部署は、同様の境遇の人も多く、6割が子育て中のお母さん。9:30〜15:00、9:00〜15:30など、それぞれの事情に合わせた勤務形態を選択しています。チーム制で働いていて、1チーム11〜13名ほどいますが、それぞれの仕事をチーム内のメンバーそれぞれでカバーできるような体制。私自身も子どもが緊急入院することになった際には、「すぐ行ってあげて」と快く送り出してもらえたので本当に助かりました。
緊急事態宣言により学校等が休業になった際には、休める人は休めるような体制が整っていたので、それぞれでフォローしながら業務を進められたのでよかったですね。
ミャンマー出身で、静岡の日本語学校に通っていた際、その学校の臨時講師としてきた「リバティー」の取締役総務経理部長の吉田さんに声をかけられ、インターンシップを経て、2020年に新卒社員として入社しました。
大学で英語を学んだので、英語、日本語、ミャンマー語の3カ国語が使えます。今はコロナ禍により国内経理業務を担当していますが、今後の海外展開時には現地社員や取引先、関係当局との架け橋となっていきたいです。
社内には中国、モンゴル、スリランカ、ベトナム、バングラディッシュなど、さまざまな国籍の人がいます。当初、業務に不安がありましたが、上司の吉田さんが親身になって相談にのってくれ、いろいろなことを教えてくれたので、今では安心して業務に従事することができています。
取組企業からの声
将来的には欧州のようにジェンダーギャップがなく世界で評価される会社へ
今はまだ外国人比率が10%ですが、当社では海外進出を計画しており、それほど遠くない将来には日本人と外国人の比率は逆転していきます。日本のジャンダーギャップ指数は低く、これまでの日本の常識を変えていかなければ、海外では評価されません。そのために規程やルールを明文化し、女性が働きやすい、女性管理職が育ちやすい環境作りをし、女性と男性の管理職割合を同等にしていきたいと考えています。また、外国人比率も増えていること、今後日本人も海外へ転勤する機会も生まれてくることから母国への帰省休暇制度を作っていきたいですね。また、将来的には旅館業界に携わる身として、バカンス制度導入、バカンス中は旅行に限らず老若男女わけ隔てなく育児・介護に関わる組織風土を築いていきたいです。
取材メモ(編集後記)
10年以上前は、男性中心の会社で、毎日遅くまで仕事をしていた会社だったそうです。それが今では、女性従業員が安心して働ける環境を整え、外国人従業員が10%という点や、経営支援を行うことになった旅館やホテルの従業員の継続雇用を行うなど、非常に懐が広く、サポートが行き届いた企業だという印象を受けました。今後も英語の社内公用語化やバカンス制の導入など、非常に展開が楽しみです。
(文責:河田良子)
株式会社リバティー
- 所在地
- 静岡市駿河区稲川3丁目2番23号
- 電話番号
- 054-281-3931
- 業種
- ソリューション事業・コンサルティング事業・旅館業
- 従業員数
- 302名
男性121名、女性181名
※人数は取材時のものです
- 設立年月日
- 昭和60年7月6日