取組内容について

静岡県内の土木工事を中心に、橋などの構造物の調査・点検・補修工事などのインフラ保全事業、不動産取引業、地下シェルター「ソトチカ」の販売など幅広く事業を行っている「アースシフト」。男性のイメージが強い土木業界ですが、「アースシフト」では現場で活躍する女性も。従業員一人ひとりのやりがいと成長を大切にしている企業です。

柔軟な働き方ができる勤務体制を整える

「アースシフト」では、育児と仕事の両立ができる支援を行っています。定時は8:00~17:00ですが、保育園や幼稚園の送迎の関係で、8:30や9:00出社等への変更が可能となっています。また、帰宅時間も保育園、幼稚園、児童クラブ等の関係で早めの帰宅が可能としています。この制度は、女性だけでなく、男性従業員で利用している方もいるそうです。平成30年に、育休から復帰する女性従業員より、始業時間の変更の申し出があったことがきっかけだそうです。また、「子の看護休暇」を新設し、急病や学校行事等、急な遅刻・早退に対応できるようにしています。

柔軟な働き方ができる勤務体制を整える
こうのとりカンパニーの取得を目指し、残業時間を削減

こうのとりカンパニーの取得を目指し、残業時間を削減

数年前から、「静岡県次世代育成支援企業(こうのとりカンパニー)」(=働き方の見直しや仕事と子育て等の両立を図るための職場環境づくりを推進し、男女共同参画社会づくりに取り組む企業を知事が認証する制度)の取得をしており、その取組の一環として残業時間削減に取り組み始めました。ノー残業デーを設け、令和3年からは残業を事前申請制度にすることで、時間外労働時間を削減。

残業を事前申請制度にすることで、メリハリをつけ業務を計画的に行うことができるきっかけとなりました。上司と仕事の調整がしやすくなったことも利点としてあげられます。

資格取得ややりがいへと繋がる補助・表彰制度

事業拡大に伴い業務にフォークリフトが必要になったことから、社内でフォークリフトの免許を取得してくれる従業員を募集。女性の営業アシスタントが志願し、令和3年夏に免許を取得しました。事務服から作業着へ着替えヘルメットをかぶり、他部署との連携を考えながら効率的に搬入作業を実施しています。
土木施工管理技士、舗装施工管理技術者、RCCM、宅地建物取引士、土地家屋調査士など、業務に必要な資格の受験費用・交通費を補助する制度も設け、従業員のキャリアアップを支援しています。
令和3年からは、勉強の場として時間外や休日に会社の会議室を開放し、参考書コーナーも用意しました。資格取得を目指したいという女性も多く、女性が積極的に活躍できる機会を広げています。
また、工事点数のよい優良工事には祝い金や記念品を贈呈したり、入社以来、長きにわたり会社の発展に貢献した従業員には旅行券などの記念品を贈呈したりするなど、表彰制度を整え、従業員のやりがいへと繋げています。

資格取得ややりがいへと繋がる補助・表彰制度

SDGsに積極的に取り組み、男女ともに働きやすい環境をつくる

SDGsに力を入れており、作業現場にもSDGsのロゴや現場で取り組んでいる内容を記載した表示を行っている同社。以前は、仮設トイレは男女共用でしたが、男性社員からの意見で、男女別にすることに。男性も女性もお互いに気を使わずに利用できる環境を整えました。
また、令和3年には従業員自らの発案で「SDGs委員会」を発足。各部門から1名ずつ、30歳未満の若手を中心に構成され、社員が働きやすい環境づくりと社会貢献を目指しています。全社員にアンケートを実施し、SDGsの項目の中で会社ができること、自分ができることについての意見を出してもらいました。このことにより、SDGsへの意識を持ってもらえる機会となりました。前述した会議室での勉強利用も、このアンケートにより実現した内容とのこと。他にも、分別ボックスや古紙の活用、贈答品の過剰包装をやめ簡易包装にする等、従業員発案の取組が実践に繋がっています。

ベトナム人を現地採用。組合を組織し、一歩進んだ支援を行う

ベトナム人を現地採用。組合を組織し、一歩進んだ支援を行う

平成30年、ベトナムでの現地採用を行い、技能実習生を受け入れました。エンジニアなどの技術者も受け入れ、現在は9人を採用。多様な人材活用にも力を入れています。日本語学習や資格取得支援を行ったり、住まいの契約などのサポートや生活家電や自転車の用意もしたりしています。
また、日本人従業員向けに、ベトナム文化を学ぶベトナムの日本語学校の講師によるオンラインセミナーを実施。たとえば頭をさわるなど日本人が行いがちな行為がベトナム人にとってはよくないこととされるなど、文化や考え方の違いを学んだといいます。これにより相互理解が深まり、信頼関係を築く礎(いしずえ)となっています。

健康経営優良法人の認定に向けた今後の取組予定

令和4年度に向け、経済産業省による健康経営優良法人の認定を目指しています。その取組の一環として、会社から車で10分ほどのところのスポーツジムと法人契約。家族の利用も可とし、福利厚生を拡充しました。会社帰りに立ち寄る人や休日に子連れで利用する人もいるなど、利用も進んでいます。
また、従業員の健康への意識調査を実施。健康診断の結果と、自分が認識する健康状態との間に乖離(かいり)があることが確認できたそうです。社内ツールを使い、健康や食生活に関する情報配信も行っています。
なお、現在、分煙を行い、禁煙の推奨を行っていますが、今後は喫煙者に対する啓発セミナーの実施も考えており、健康面も含めた従業員の働く環境整備に取り組んでいくそうです。

健康経営優良法人の認定に向けた今後の取組予定

取組によって得られた声

建設部

大井智加さん

2020年入社

以前は医療事務の仕事をしていましたが、太陽を感じる場所で仕事をしたいと「アースシフト」に昨年入社したばかり。小学3年生の子どもがいます。現場監督の業務に携わっているので、現場には通常8:00前に入る必要がありますが、子どもの関係で8:00過ぎに現場に入っています。また、児童クラブのお迎えがあるので遅くとも17:30には帰社する必要がありますが、会社が融通を利かせて近場の就業場所に設定してくれています。今後は会社の制度を利用し、2級土木施工管理技士の資格取得を目指したいですね。

取組企業からの声

取締役総務部長

村上悟史さん

「イマジン協同組合」をつくり、海外人材の採用と暮らしをサポート

雇用課題の解決に向け、海外人材に着目しています。日本では競争率が高い高度人材なども現地で採用活動を行うことで、トップレベルの国立大を卒業しているような優秀な人材に出会うことができます。加えて当社では「イマジン協同組合」という組織を新たにつくり、実習生などの海外人材が日本で就業できるよう企業を支援。日本語学習や、自動車免許の取得支援等も行っています。この取組は県内の企業と協同で行っており、すでに多数の企業へ海外人材採用の紹介も実現しています。今後も採用活動を増やしていけたらと考えています。

取材メモ(編集後記)

社内でフォークリフトの免許取得を募集した際、手をあげたのが女性のみだったそうです。男性の印象が強いフォークリフト、そして土木の現場監督も女性が活躍しています。女性が自ら手をあげて活躍の場を広げられる社内雰囲気があるのだと感じました。
平成31年に完成したばかりの社屋は、きれいでおしゃれな雰囲気。休憩コーナーには飲み物も充実しています。資格取得の勉強のために、時間外に開放している会議室も、勉強がとてもはかどりそうでした。
また、新型コロナの影響で、例年行っていたボーリングや忘年会等の社内行事が中止に。代わりに従業員手づくりの宝くじ抽選会を開催したそうです。近隣地域の飲食店への応援の意味も込め、その店の食事券や商品券、おもちゃなどの景品を従業員だけでなく、その家族の分も用意。オンラインで抽選会を配信し、従業員は抽選会の様子を自宅から家族と一緒に楽しんだといいます。従業員が家族とともに盛り上がった様子が想像できますね。

(文責:河田良子)

株式会社アースシフト

所在地
静岡市葵区山崎2丁目17-16
電話番号
054-278-8309
業種
総合建設業、コンサル業
従業員数
65名 

男性55名、女性10名

※人数は取材時のものです

設立年月日
昭和60年5月16日
ウェブサイト
https://www.earth-shift.co.jp/
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