取組内容について

創業37年の「アドテクニカ」は、クラウドサービスやWEBソリューションサービスを中心に、デザインやWEBマーケティング、企業のコミュニケーション戦略、システム開発まで一環してサポートしている企業です。カスタマーサティフィクション(=顧客満足。以下、CS)を高め、クライアントに長くサービスを使ってもらうことを企業マインドに掲げています。

女性ならではのきめ細かい対応が、顧客満足度をあげ、企業発展の足がかりに

女性ならではのきめ細かい対応が、顧客満足度をあげ、企業発展の足がかりに

「アドテクニカ」の事業は、顧客フォローが必須となってきます。電話や訪問でのフォロー、ソフトの使い方の説明や活用のためのセミナー開催など、クライアントに寄り添った丁寧できめ細やかな対応が求められます。「こういった対応は、女性の方がやわらかい物腰で対応してくれるので、向いている」と代表取締役社長の下村聡さんは話します。

はじめは、佐藤由貴さん(現・常務取締役/執行役員、人事部兼CSソリューション営業部 統括リーダー)が、営業活動をする傍らCSソリューション事業部(現:CSソリューション営業部)を立ち上げ、もう一人の女性スタッフとともに活動を開始。顧客向けサービスについて検討を重ねるうちにクライアントも増え、メンバーも増やすことに。現在は9名になり、正社員、パート社員ともに女性スタッフが活躍しています。

1日2時間からのパートタイム勤務が可能

1日2時間からのパートタイム勤務が可能

子育て中の主婦層の中には、「キャリアがあって優れた女性」が数多く潜在しています。「アドテクニカ」では、柔軟な勤務時間を調整することで、パート社員の積極採用を行っています。「12時間週3日だけ」「保育園のお迎えに間に合うよう10時から16時までだけ」「扶養範囲内で働きたい」といった短時間勤務が可能。また、「運転免許を取りに行きたいから、一時的に短時間勤務にしたい」「子どもが熱を出したので数日休みたい」といった不規則な勤務に対する希望も通るといいます。予定が見えにくい子育て中の主婦がイキイキと働く環境を整えており、急な休みでも業務が回るよう調整されています。こういった柔軟なパート勤務ができるのは、IT業界では珍しい働き方だと思われます。

「働きたいけれど、子育てしながら仕事ができるか不安を抱えている人も多いようです。一人ひとりの家庭環境に配慮し、ペースを合わせながら勤務できる企業でありたいと思っています。あるパート社員は、出産前には在宅ワークという形で仕事を手伝ってくれました。彼女はもともと前職でテレアポのエキスパートだった方で、今当社で大活躍している女性スタッフの一人です。当社で働く女性スタッフは、家事・育児も頑張りながら、仕事も頑張ってくれる人ばかり。自分で判断する力を持ち、自分自身で成長していく力を持っています」と取締役社長の下村さんは話します。

女性クリエイターが多い職場だったため、もともと制度が充実。2015年にさらに制度を見直し

女性クリエイターが多い職場だったため、もともと制度が充実。2015年にさらに制度を見直し

「アドテクニカ」は、37年前の創業当時、デザイン事務所でした。256年ほど前には、すでに産休・育休・生理休暇などが整っていたそうです。最近は、女性スタッフが増えたこともあり、2015年に社会保険労務士の協力を得ながら、就業規則を見直し。様々な制度や手当などについても検討。さらに、人事考課制度・キャリアパスの中身も改めて見直すことにしたそうです。新しい人事考課制度は20167月から運用をスタート。社内からは、「評価の基準がわかる、公平な査定をしてもらえる、だから頑張れる」と好評だといいます。

また、役員面接は、年2回から4回へ変更。性別関係なく、正当な人事評価ができる評価制度になっているとのこと。現場の生の声を拾いやすくなり、社内の人財活用が円滑になる役割を果たしているようです。「女性だけれど活躍したい」「管理職になりたい」「もっとスキルを高めたい」といった社員の意欲に添えるよう、管理者研修やその他技術研修など、外部セミナー等に自由に出られるようにしており、積極的に社内へ案内。意欲アップとスキルアップへとつなげています。

なお、現在、9人いる管理職のうち、4人が女性。このうち2人は、適正検査・面接・論文を経て、2017年度に昇進したばかりだそうです。家庭も仕事も抱える女性は、管理職へのイメージを持ちにくいといいます。外部セミナーを活用しながら「管理職になりたい」という女性を今後も増やしていきたいとのことです。

「働き方改革推進委員会」「環境美化委員会」を設置。残業が多いIT業界で週2回のノー残業デーを実施

「働き方改革推進委員会」「環境美化委員会」を設置。残業が多いIT業界で週2回のノー残業デーを実施

2010年頃から毎週水曜日を「ノー残業デー」としました。かつては残業するのがあたりまえの世の中でした。2017年からは、金曜日も加え、週2回の「ノー残業デー」を設定。残業が多い印象のIT業界では、なかなか画期的な取組みだと言えます。これは、「働き方改革推進委員会」を設置し、実現したそうです。

具体的には、17時になると「ノー残業デー」の案内がメール配信され声掛けがはじまるそう。また、毎日20時にはエアコンや各種機器の電源が落とされます。就業終了1時間前に、各部門長がそれぞれの業務を確認し、分担、もしくは翌日に回すことが可能な業務は翌日へと回します。それでも残業が必要な場合は、残業申請を提出しなければなりません。現在、8割程度実現できているとのことです。

年に12度あるかないか程度だそうですが、お客様の納期や、サーバのメンテナンスなど一部の作業の都合上で作業が深夜になることもあります。その場合は、フレックスタイムを活用してもらい、翌日の出社時間を遅らす対応をとっています。

「残業を減らすことで、それぞれがメリハリをつけ、効率よく仕事をするようになった。目に見えて成果があがり、売上げアップへもつながった」との声があり、スタッフだけではなく、企業にとっても大きなメリットを得たようです。

また、「環境美化委員会」では、「会社の風土を変えたい」「掃除をきちんとして社内をきれいにしたい」といった声が多くの女性スタッフたちからあがり、掃除当番のルールの明確化、サーバ内の整頓などを実施。また、抜き打ちでデスクの写真を撮り、「誰の机が一番きれいか」というコンテストを社内掲示板を通して開催。こういった女性ならではの感性により社内環境の整備が進み、効率化への足がかりとなっているようです。

こういったさまざまなアイデアが実現できるには、柔軟性が企業側に必要です。「アドテクニカ」には、自分の意見を積極的に言いやすい雰囲気があるようです。スタッフから何らかのアイデアが出てくると「そのアイデアいいね、ぜひやってみよう」と言ってくれるそう。たとえば、テレアポが得意な女性パート社員が「マニュアルを整備した方がいのではないか」という意見を出し、それを実現させることで、さらなる業績アップへとつなげています。

「女性から出てくる意見は、細部まで見据えていて、しかも現実的。実現まで、意見を煮詰めてくれる」と取締役社長の下村さんは話します。

組織力アップのためにレクリエーションを活用。有給は積極的に取得。

組織力アップのためにレクリエーションを活用。有給は積極的に取得。

また、毎月第1土曜日は「検討会」という全体会議があります。各部門からの発表や問題提起、新しい取り組みに関しての意見交換など、様々なテーマで盛り上がります。毎月会議ではなく、「山登り」「バーベキュー」「旅行」といったレクリエーションを定期的に設けているそう。スタッフの楽しみの一つとなっています。こういったレクリエーションは、組織力アップにつながるそうです。 有給は、積極的に取得する雰囲気が社内にはあり、100%取得する人も。たとえば、「家を建築中なので打合わせのために」「子どもの行事に参加するため」など、家族のために時間を使う人も多いようです。

取組企業からの声

常務取締役/執行役員、人事部兼CSソリューション営業部 統括リーダー

佐藤由貴さん

今後への課題

子育てをしながら働く女性社員が増えてきた昨今、新しい制度を整える必要が出てきています。育休明けの働き方などは、まだまだ模索中です。これまでは、正社員とパート社員という区分でしたが、働き方の選択肢を広げるためにも新たに「契約社員」という区分を設けることを考えています。在宅勤務、時短勤務、有期雇用、無期雇用など、今は、さまざまな働き方が可能な時代になりました。優秀な社員は、正社員・パート社員・契約社員問わず、末永く働けるような、もっと働きやすい会社に。今後も様々な制度や仕組みなどを考え積極的に取り入れていきたいと思っています。

取材メモ(編集後記)

訪問した際、会社内を案内してくださいました。掃除が行き届いた、アットホームな雰囲気。働きやすい環境が整っていると、仕事も円滑に進むのではないかと感じさせてくれました。中小企業のIT企業では珍しい週2日のノー残業デーの設定と、数時間からのパートタイム勤務の採用は、他企業にとってもとても参考になる事例だといえます。ここでなら、子育て中でキャリアを諦めかけている女性が、イキイキと活躍できるのではないかという印象を与えてくれました。

(文責:河田良子)

株式会社 アドテクニカ

所在地
静岡市駿河区中田2丁目4-40
業種
IT情報サービス
従業員数
23名 

男12名、女11名(正社員/男12名・女6名、パート社員/女5名) ※役員5名のうち3名は女性
 ※2017年10月23日時点

※人数は取材時のものです

設立年月日
1982年4月1日
ウェブサイト
http://www.adtechnica.co.jp
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